深谷薬局 養心堂

漢方薬局 深谷薬局養心堂

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血虚の症状

中医学で言う血虚は、血の不足です。
病院で検査する貧血も血虚の一部ですが、貧血が無い血虚も沢山あります。
病院で検査する貧血は、血液の赤血球や鉄の濃度です。
血液全体の量とか、流れは考慮しません。
濃度が正常でも、全体の量が少ない場合もあります。
また血流が悪くて、一部の血が不足する場合もあります。

中医学的な血虚の症状は次のようなものがあります。
脈が細い
脈が弱い
舌の色の赤みが少ない
たちくらみ
冷え性
生理の色が薄い、量が少ない、だらだら続く
髪の毛が細い、抜けやすい
爪がもろい
血圧が低い
朝おきづらい

などの症状がよく見られます。
勿論、全部の症状が揃ってある分けではありません。
また血虚以外の原因もあります。


体力があるか、無いか

漢方薬の効能効果に、「比較的体力があり....」とか「体力がなく...」といった記載があります。
これはどういう事なのでしょうか?

もともとの中国の漢方の考え方として、病気がおこるのは
「体に必要なものが足りない」 正虚 
「体に余分な汚れがたまる」  邪実
の2つがありました。

これが日本式になった時に
体に必要なものが足りない 体力がない 虚証
体に余分なものがある   体力がある 実証
という分類におきかわりました。

この置き換えは正しい場合もあるし、正しくない場合もあります。
特に問題は、体に汚れがたまると疲れやすくなります。
これは虚証なのか実証なのか?
桂枝茯苓丸など、血の汚れを綺麗にするものは、血の汚れがあれば体力とは関係なく飲む事が出来ます。
ただ、桂枝茯苓丸の効能には「比較的体力があり」となっています。
また、体力があるか無いかは、とても大雑把な概念です。
そもそも体力って何?
個人的な意見ですが、漢方の効能効果から体力があるか無いかの記載は外す方が良いと思います。

潤す漢方と乾かす漢方

体に余分な水がたまっている場合は、余分な水を取り除く作用の漢方を使います。
ここで注意しないといけないのは、乾かし過ぎない事です。
気の流れを良くする漢方、発散する漢方なども乾かす作用があります。
温める作用の漢方も乾かすものが多いです。
トータル的には、多くの漢方が乾かす作用になります。
ですから、乾かしすぎに注意します。
ごく簡単に見分けるのは、舌の苔です。
舌の苔が厚い場合は乾かす作用のものは大丈夫です。
舌に苔がなく、ツルツルの場合は潤い不足の可能性が高いので要注意です。

潤す漢方と乾かす漢方

漢方薬には、体を潤す作用のものと、乾かす作用のものがあります。

潤いが足りない状態を津液不足とか陰虚のと言います。
こういった場合は潤す作用の漢方を使います。
その場合、どこを潤すかも考えます。
まあ、体はつながっているので、長い目で見れば体全体が潤うのですが。

例えば、目が乾くという場合を考えてみます。
目は肝と関係が深いので、肝を潤すものを使います。
ただ、肝の潤いは腎から供給されるので腎を潤す事も必要です。
このようにして考えられたものが杞菊地黄丸です。

皮膚や粘膜の潤い不足の場合は、肺との関係を考えます。
体表は肺の受け持ちなので、肺を潤すものを考えます。

心に潤いが無いと、動機がしたり、疲れやすくなります。
また夏バテや熱中症になりやすくなります。
このような場合は麦味参顆粒を使います。

このように、漫然と潤す作用の漢方を使うのではなく、適材適所で使うと効き目が良くなります。

上げるものと下げるもの

中医学的に漢方の分類は色々なモノサシがあるのですが、その中で「上げるもの」と「下げるもの」という分け方があります。
「下げるもの」と言うと、下剤を想像しますね。
その通り。下剤もりっぱな下げるものです。
ただ、下げるものは下剤だけではありません。
下剤は大腸につまった大便という汚れを排出するものです。
では、大腸まで行かない汚れ、便になる前の汚れはどうでしょうか?
胃のあたりでつまってしまって苦しい事があります。
この場合は吐ける場合は吐いてしまうのも手です。
それが難しい場合は消導薬という方法で食べ物を下におろします。
下げるだけでなく消化を助ける作用もあります。
それで胃がスッキリするのです。

気がのぼるという事があります。
更年期に特徴的なホットフラッシュもそうです。
イライラ、カッカとして、顔を真っ赤にして怒る。
ストレスがたまって、眠れない。
こんな時は気が上に昇っている状態なので、気を下げる薬を使います。
これを降気薬と言います。
降気薬にも色々種類があります。
肺の気が昇って降りないと、咳が出長引きます。
心の気が昇って降りないと不眠になります。
肝の気が昇って降りないとイライラ、カッカとして怒りっぽくなります。

逆に降りてはいけないのに降りたりする場合もあります。
下痢、多尿、胃下垂、遊走腎、脱肛、子宮脱、たちくらみなどがあります。
このような場合は気を上にあげるものを使います。

面白いのは、同じ症状でも気が昇って起こるものと気が昇らなくて起こるものがあります。
耳鳴り、めまい、頭痛などがそれです。
それぞれ、しっかりタイプ分けして治療する事が大切です。


中医学の表裏

中医学で使う表裏は、日本語の表裏と少し違います。
まず、表裏には2つの意味があります。
1つ目は、日本語の表裏と同じで「オモテ」と「ウラ」の意味です。
体では体の前側が「ウラ」で、背中側が「オモテ」です。
反対のように思うかも知れませんが、ちゃんと訳があります。
中医学では、オモテは陽、ウラは陰に分類します。
そうすると、「ひなた」は陽で、「日陰」は陰です。
人間も動物と同じと考えて四つん這いになります。
それで日のあたる部分が陽、すなわち「オモテ」となります。
四つん這いになって日の当たる部分を思い浮かべて見て下さい。
その部分が中医学の表です。
反対に四つん這いで日陰になる部分が陰、すなわち裏です。
感覚的でわかりやすいですね。

もう一つは中側と外側です。
表というのは体表です。
そして裏は体の中です。
このあたりは、日本語と中国語の違いもありとても混乱する部分です。
ややこしいですが、ちょっと説明します。

紙のオモテ
日本語 表面(おもてめん)
中国語 正面

紙のウラ
日本語 裏面(うらめん)
中国語 背面

外側
日本語 表面(ひょうめん)
中国語 表面 外面

中側
日本語 中側
中国語 裏面

となります。
日本語の読み方がかわったり、中国語と日本語で言い方が違ったりしています。




風邪の漢方

今年も風邪の季節になりました。
中医学では、風邪の治療も、コロナ、インフルエンザ、マイコプラズマなどの治療も基本的には同じです。
インフルエンザだからこれ、コロナだからこれという区別はありません。
ただ、症状によって使い分けは必要です。

まず最初に区別するのは、熱と寒です。
これは体温よりもむしろ自分の感覚を重視します。
寒気があるかないか。
熱っぽい感じがするか。
顔色は赤いか。
喉は乾くか。
冷たいものが飲みたいか、温かいものが飲みたいか。
尿の色はどうか。
などを基準にして、熱と寒を分けます。
熱が強い場合は冷やす性質の漢方を選択します。
寒が強い場合は、温める性質の漢方を使います。

温める性質の漢方を選んだ場合、咳が主か、節々の痛みが主か、お腹の症状が主かなどで使い分けます。
さらに咳の場合、痰がからむかどうかも大切なポイントです。
咳が主で、痰が少ないなら麻黄湯を使う事が多いです。
痰が多い場合は小青龍湯を使います。
咳は少なくて節々の痛み、筋肉の痛みなどの場合は葛根湯を使います。
お腹の症状は藿香正気散を使います。

冷やす性質のものとしては、銀翹散をよく使います。
これは症状にかかわらず、まず基本的に使います。
それで咳があれば、これと麻杏甘石湯を併用します。
鼻がつまる場合は、辛夷清肺湯を併用します。



血管年齢

「血管年齢を測定したら、◯◯才だった。」と言う話を聞く事があります。
それで一喜一憂したりしますが、あまりにも曖昧です。
何を基準に測定しているのでしょうか?

血管は年齢とともに固くなる傾向があります。
ですから、血管の硬さを測定して、「あなたの血管の硬さは〇〇才相当です。」と言うのは納得できます。
しかし、血管の硬さを測るのはなかなか難しいでしょう。

流れる速度は、個人差があります。
測定も簡単です。
ただ、年齢以外の要素が大きいので、血管年齢と言うのは無理でしょう。

ゴースト血管の量は血管年齢に関係するように思います。
しかし、それを正しく測定して数値化するのは難しいでしょう。
ですから、血管年齢というのは、あくまでも目安で、一喜一憂しない方が良いでしょう。

メーカーによる違い

同じ処方名の漢方でも、メーカーによる違いはあります。
入っている生薬の構成は、たまに違う事もありますが、基本的には同じです。
ただ、入っている量はメーカーによってバラツキがあります。
また、使っている生薬の質や産地も違います。
加工方法も違ったりします。
例えば、同じスパゲッティのカルボナーラでも、お店によって材料の質や茹で時間などの違いで違いが出ます。
それと同じで、同じ処方でも違いが出ます。
どのメーカーが良いとか悪いとか、一概には言えません。
飲む人の体質や状況によっても、どのメーカーが良いか違ってくるでしょう。

漢方を飲む時は、水が良いのか?

よく質問されるのが、漢方は何で飲んだら良いかという質問です。
常温の水、ぬるま湯、温かいお湯は、勿論みなOKです。
お茶はどうでしょうか。
頂調顆粒という漢方にはお茶が含まれています。
お茶も漢方薬の仲間なのです。
ですから、処方によってはお茶で飲むと良いものもあります。
お茶で飲んでは駄目というのは考えにくいですが、お茶自体の作用も考える必要があります。
お茶は、血管を収縮させる作用があり、体を冷やす性質です。
体を温める漢方との相性はあまり良くないかも知れません。

お酒はどうでしょうか。
ある種の漢方はわさわざお酒で飲むように指示したものがあります。
これはお酒には血流を良くするなどの薬効があるからです。
ただ、どんな漢方もお酒で飲む方が良いとは言えません。
血管をひろげて血流を良くするものなので、一般的に、補腎薬などはお酒との相性が良いとされています。
解らない場合は、購入されているお店などで聞いてみてください。


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