深谷薬局 養心堂

漢方薬局 深谷薬局養心堂

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410.不登校

最近、子どもが学校に行けなくなったという相談が増えています。
コロナの流行と関係がある様に思っていたのですが、それだけでは無いようです。
学校でいじめにあっているなどのはっきりした原因がある場合もありますが、
そうで無い場合の方が多いようです。

症状は胃腸の症状が多く、お腹が痛くなる、吐き気、トイレに行きたくなるなどの胃腸の症状が多いようです。
他には頭痛、めまいなどもよくあります。
朝起きるのが苦手で、昼ころまで寝ている場合もあります。
午後からは比較的元気で、休みの日も問題ありません。
本当にお腹が痛いの?と思う事もありますが、仮病という分けではありません。
「学校に行きたくない」という人だけでなく「学校には行きたいのに行けない」という場合もあります。

漢方的に考えてみます。
学校に行く事がストレスになり、心(しん)が影響を受けます。
この状態を心神不寧(しんしんふねい)と言います。
比較的強いストレスを受けた時に、心が安定しない状態です。
不安感が強くなり感情のコントロールがうまく行かなくなります。
心神不寧の状態は肝鬱気滞(かんうつきたい)を引き起こします。
肝鬱気滞は自律神経が不安定な状態です。
自律神経は胃腸をコントロールしていますから、肝鬱気滞で一番多いのは、腹痛、吐き気、下痢、食欲不振などです。
この場合、胃腸の検査をしても異常が無い事が多いです。

漢方を使う場合、心神を安定する養心安神の漢方、そして気の流れを調整する疎肝理気の漢方を使います。

409.花粉症の漢方

花粉は、中医学では外邪と考えます。
ただし、花粉の邪気としての性質はごく弱いものです。
ですので、虚邪とも言います。
こういった虚邪は普通は人を傷つける事はありません。
しかし、体質的に虚弱だったり、体内に汚れがあると花粉症がおこります。
体を守る気は衛気といいます。
衛益顆粒のように衛気を補うものや、体内の汚れ、特に痰湿を取り除くものを普段から使っていく事が大切です。
ですが、なってしまった状態なら、体質改善は間に合いません。
この場合は、対症療法になります。
鼻水、くしゃみ、鼻詰まり、目のかゆみなどの症状から何を使うか決めていきます。

408.風邪の漢方

今日は風邪の漢方についてお話します。
風邪は大きく分けて「風寒」と「風熱」があります。

風寒型は、寒気を伴うのが特徴です。
寒いと体が固くなります。
ですから、筋肉のこり、痛みを伴う事があります。
この時、脈は固くなっています。
これは寒さで血管が収縮するためです。
使う漢方薬としは、体を温めて発散するものを使います。
発散は、体内の毒素を追い出すためです。
よく使うのが葛根湯です。
この時、咳をともなう場合は麻黄湯、鼻水を伴う場合は小青龍湯を使います。
どの処方も麻黄と桂枝という生薬が含まれています。
この2つを同時に使うと、温めて発散する力が強くなります。
ただ、注意点としては、あまり長く使うと体力を消耗するとか、夜眠りが悪くなる、血圧が上がるなどの場合もあります。
葛根湯などを長期間使う場合は注意が必要です。

風熱型は、熱が出やすいのが特徴です。
喉の乾き、痛みを伴う事が多く、顔が赤い、だるいなどの症状も出やすいです。
代表的な処方は銀翹解毒散です。
ほとんどの風熱型はこれで対応できます。
咳がひどい場合は麻杏甘石湯と併用します。
鼻の症状が強い場合は、頂調顆粒や麗沢運気湯併用します。
粘膜の症状の場合は甘露飲もよく併用します。


407.口と鼻

最近、のど、舌、鼻などの粘膜の異常についての相談が多いようだ。
インフルエンザ、コロナなどや花粉などの影響なのか、原因は今ひとつ、はっきりしない。
口の中や鼻でなんらかの炎症を起こしているようだ。

舌の苔があつい場合と、テカテカの場合がある。
テカテカの場合は甘露飲が良く効く。
苔があつい場合、苔の色で熱寒を分け二陳湯、温胆湯、清湿化痰湯などを使う。

これに消炎効果を考えて、五涼華、銀翹解毒散、麗沢運気湯、頂調顆粒、桔梗石膏などを使い分けて対処している。


406.潤いを保つ食べ物

冬は乾燥しやすい季節です。
潤いを保つ食べ物をいくつかご紹介します。
一番は、ツバメの巣。
ですが、大変高価でなかなか手に入らないので、代用品としては白キクラゲがあります。
黒いキクラゲはスーパーなどでも見かけます。
白キクラゲはスーパーではあまり置いていないようです。
中華料理の食材店などではよく見かけます。
梨とあわせて蜂蜜などで甘いスープを作ると良いでしょう。

次にネバネバするものです。
オクラ、蓮根、納豆などです。

他に身近なものとして、牛乳、豆乳、トマト、ごま、アサリ、シジミなどがあります。

中医学の理論では、酸甘補陰というのがあります。
酸っぱいものと甘いものを混ぜると陰を補う、つまり潤いに良いのです。
例えば酢豚などが代表的な料理です。

また、もう一つの理論として、辛味で潤すというものがあります。
辛味としては、ネギ、白菜の白い部分などがあります。
ただし、辛味はあまり取りすぎない事です。
体内の水分を体表に運ぶ作用で、潤いそのものを増やす作用ではないからです。

405.大胆になろう!

昔から、「あの人は大胆だ」とか、「あの人は肝っ玉が大きい」と言います。
大胆は、胆嚢が大きいという意味です。
そして「肝っ玉」とはやはり胆嚢の意味です。
このように、胆嚢が大きいと不安も少なく、決断力も優れて、ビクビクしなくなります。
西洋医学では、胆嚢は胆汁を入れる袋で、精神的な作用はありません。
ですが、昔の人は胆嚢には精神を安定させる作用があると考えました。

びっくりすると、「肝を冷やす」事になります。
この場合の肝も胆嚢と考えると、胆嚢は冷やさない方が良いと言えます。
胆嚢を冷やさないようにする漢方が「温胆湯」です。
実は、温胆湯には体を温める生薬は少なく、直接的な温胆の効果はあまり無いと考えます。
ですが温胆湯を飲むと、ビクビクしなくなり、不安が少なく、良く眠れるようになります。
結果として肝を冷やさなくなります。
肝が冷えなくなるので、温胆湯という名前になっています。
面白いですね。

404.中医学で脳はどこにある?

中医学では、骨は腎の一部であるとしています。
ですから、骨の中の骨髄も腎の一部分と言えます。
背骨の中にある骨髄も腎の一部です。
そうすると、脊髄につながっている脳も腎の一部なのでしょうか?
中医学の記載に、「脳は髄海である」との記載があります。
つまり脳もまた腎の一部と言えます。

中医学では、心は心臓の以外にも、「こころ」つまり意識とか思考を含んでいます。
心には神が住んでいて、神はすべての思考の中枢です。
神には家来がいて、肺に住んでいる魄、肝にすんでいる魂、脾に住んでいる意、腎に住んでいる志があります。
それぞれの働きを説明すると長くなるので、次回以降にお話します。

さて、脳の話に戻ると、脳は物質としては腎の一部ですが、働きとしては心の一部となります。
同じものが、物質と働きとに分けて考えるのは不思議ですね。
これはコンピューターのハードとソフトの関係に似ています。
ハードウェアは物質であり腎です。
これに対して、それを動かすソフトは心なのです。
このように考えると、何の矛盾もありません。
ですから、脳の働きを正常に保つには腎と心、ハードとソフトが正常に機能する事が大切なのです。

403.末梢血管抵抗

冬は末梢血管抵抗が高くなりやすい時期です。
血流計でみても、冬の時期は末梢血管抵抗値が高い人が多いです。
末梢血管抵抗値が高いという事は、細い血管の血流が悪いという事です。
原因としては

1.血管が硬い
動脈硬化の場合もありますが、多くは血管が収縮しています。
ストレス 冷え、痛み、運動不足などが考えられます。
気の流れを良くする漢方や、体を温める漢方などを使います。

2.血管が細い
生まれつき細い場合もありますが、血の量が少なくなっている事が多いです。
いわゆる血虚の状態で、血を増やす漢方を使います。
またエネルギー不足の状態で、血を押し出す力が足りない場合もあります。

3.血の汚れ
いわゆる瘀血の状態です。
瘀血を改善する漢方薬を使います。

末梢血管抵抗が上がると、手先足先の冷え、肩こり、頭痛、筋肉痛、生理痛、高血圧などになりやすいです。
また、末梢血管からおしだされた血が上にのぼり、のぼせの原因になる場合もあります。

402.肌の乾燥は潤す漢方?

冬は肌が乾燥しやすい季節です。
肌が乾燥しているなら、潤す漢方を使えば良いでしょうか?
肌という一部分だけ考えるならそれで良いでしょう。
しかし、体はつながっています。
皮膚が乾燥しているからと言って、体内も乾燥しているとは限りません。
皮膚が乾燥していても、体内に熱がこもっている場合があります。
また、血の汚れがあり、血流が悪くなっている場合があります。
水分が不足しても油分は過剰な場合もあります。
アトピーなどのように、皮膚の表面は乾燥しても少し下には湿熱といった汚れが蓄積している可能性もあります。
このように乾燥だから単純に潤すのが言いとは言えません。
あくまでも乾燥の原因を考える事が大切です。

401.抜け毛

抜け毛の原因は、毛根の栄養不足です。
しかし、毛根に栄養が行かない理由はいくつか考えられます。
大きく分けて、そもそも体内の栄養が足りない場合と、体内に栄養は充分にあっても上手く毛根まで届けられない場合があります。

中医学では髪は血の余りと考えています。
ですから、黒くツヤツヤした髪の毛の為には充分な血が必要です。
血虚と言って血が足りない状態の場合は、まず血を増やす漢方薬を使います。
それと同事に血を増やす食事にも気をつける必要があります。
漢方は血が増えるのを助ける作用はありますが、血液の原料も必要です。
一流のコックさんでも、食材が無ければおいしい料理は作れませんね。
それと同じです。

体には血が充分にあっても、毛根まで届かない場合があります。
何かが配達の邪魔をしているのです。
では何でしょうか?
考えられるのは血の汚れ、脂の汚れなどです。
これを中医学では瘀血とか痰湿と言います。
これらが原因の場合は瘀血や痰湿を取り除く漢方薬を使います。
また気滞といって、気の流れが悪いと血管が収縮します。
この場合も血流が悪くなり、髪の毛が細くなったり抜け毛が多くなります。
気滞の原因はストレスが多いので、ストレスによる抜け毛は気滞を考えます。

円形脱毛症と言った特殊な場合は、免疫のバランスで、考え方はアレルギーと同じです。
円形脱毛症の漢方はまた機会があればお話します。


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