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六経辨証

六経辨証は、今から2000年くらい前に書かれた『傷寒論』という本の中に記載されている方法です。
2000年も前に作られた理論が今でも通用する所が漢方のすごい所です。
『傷寒論』は、傷寒という病気について書かれています。
傷寒は、主に冬に流行する伝染病です。
実際には冬に流行するものだけでなく、夏に流行する伝染病もある程度治療する事が出来ます。
このため、夏に流行する伝染病の専門書はずっと作られませんでした。
今は、伝染病の治療は傷寒と温病というおおまかなくくりで治療されています。
傷寒は、風寒という邪気が体表から体内に入り込んで起こる病気と考えています。
まず最初に入ってくる場所が太陽膀胱経で、この部分に邪気があるものを太陽病とよびます。
太陽病は主に経絡に邪気が存在しますが、一部、経絡をつたわって膀胱に邪気が入り込む場合があります。
経絡に邪気がある時は桂枝湯や麻黄湯で発散して邪気を取り除きます。
膀胱に邪気が入り込んだ場合は五苓散などで利尿します。
太陽に入り込んだ邪気は直接陽明に伝わるか一旦少陽に伝わってから陽明に伝わります。
始めは寒邪だった邪気もこのあたりで化熱して熱邪と替わります。
夏の伝染病を傷寒の理論で治せるのは、このためです。
陽明は陽明胃経です。
陽明の経絡に邪気が入り込むと、高熱が出て脈が洪大となります。
この次期に良く使うものが白虎湯です。
胃の腑に邪気が入り込むと、化熱して便秘になります。
この時に使われるのが承気湯類です。
少陽は、足少陽胆経と手少陽三焦経です。
一般的に傷寒は足の経絡を重視しますので、少陽胆経との関係が深いはずですが、実際の症状は三焦経の症状が多くなります。
この時期の代表方剤は小柴胡湯です。
陽明に伝わった邪気がなかなか治らないと、病気に対する抵抗力がなくなって陰証となっていきます。
陽明の邪気が陰に転じると太陰病となります。
太陰病は太陰脾経を中心とした病気で、お腹の痛みなどが特徴です。
太陰病はやがて少陰に邪気をつたえます。
少陰腎経を中心とした病気です。
少陰病の特徴は、寒熱の違いがある事です。
少陰の寒証は身体を温める力が不足して、体力も消耗した状態です。
附子など強力に温める生薬を使って陽気を回復します。
少陰の熱証は体力の低下があるものの邪気は化熱したままの状態です。
黄連阿膠湯などを使います。
少陰病が治らないと、心や腎が衰えて、命がなくなる可能性があります。
一部の病人は、持ちこたえ、厥陰病となります。
厥陰病は厥陰肝経の病気で、熱と寒のバランスが悪くなり、様々な症状があらわれます。
非常に複雑でやっかいな状態と言えます。

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