深谷薬局 養心堂

漢方薬局 深谷薬局養心堂

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体力があるかないか...について

漢方の効能効果の所に「比較的体力があり...」とか「体力中等度以下で.....」とか、「体力虚弱で...」とか書かれています。
しかし、この表現はあまり正しいとは思えません。
日本漢方では体力のある人を実証、体力の無い人を虚証といます。
そして、この漢方薬は実証向けだから、君には合わないとか、君は虚証だからこの漢方が合うといった言い方をしています。
しかし、中医学では、実は邪実で、邪気がたまったものです。
正気がたまった場合は、体力はあっても病気にはなりません。
邪気は病気の原因になりますから、邪実の場合は邪気をとる漢方薬を使います。
これを瀉剤といっています。
日本漢方では殆どの瀉剤には「比較的体力があり」と記載されています。
しかし、体力が無い人にも邪気はたまります。
中医学の用語でも「邪のある所、その気必ず虚する」というものがあります。
つまり正気の不足があるから、邪気がつけこんで入ってくるのだという事です。
もし正気が充分なら、邪気を跳ね返す力があるはずです。
(よほど強力な邪気は別です)
この事から、体力が無い人にも瀉剤が必要な事はよくあります。
ですから、体力が無い人にも「比較的体力があり」と記載されている、例えば桂枝茯苓丸などが必要な事はよくあります。
ただし、瀉剤は補う力がありません。
正気の不足がある場合は、正気の不足を補う必要があります。
このような処方は補剤といわれます。
補剤には「体力虚弱で」と記載されています。
一般的に病気の人は、先ほども言ったように、邪気の存在(実)と正気の不足(虚)が混在している事が多いのです。
つまり、日本漢方式に考えると「比較的体力がある」ものと「体力虚弱で」という2つの処方を同時に使う事になります。
どうしてこのようになってしまったのかというと、効能効果が決められた時にはまだ中国との国交がなくて、正しい中医学が日本に入って来ていなかったからなのです。
今は、中国との国交もあり、正しい中医学がどんどんと日本に入って来ています。
古い日本漢方式の表現だけしか書かれていない漢方薬の効能効果は時代遅れのものになってしまったと思われます。

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