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中医学の陰と陽の概念

中国文化を知る上で八卦の概念は欠かせない。
爻と呼ばれる記号のようなものを三本かさねて八卦を作る。
爻には陽をあらわす-と、陰をあらわす- -で構成されている。
陽を三本かさねると☰で、これを乾と言って純陽をあらわす。
中医学では純粋な陽は存在しないと考える。
どんなに陽的なものであっても少しは陰が混ざるからである。
例えば火は実体がなく熱を持ち、変化するという陽の性質を全部もっている。
しかし、そんな火でもわずかに陰の性質ももっていると考えている。
それで火は☲(離)で表現している。
上と下の二本の陽が一本の陰を挟んでいる。
そうすると外見は陽だが、中に陰を含んでいる。
じつにみごとな表現だ。
陰が3つかさなった☷(坤)は陰の象徴だが、地球上で一番陰の要素をもっている水は☵(坎)で表現している。
絶対零度という概念がある。
分子の動きは温度が下がると遅くなる。
そうすると、どんどんと温度を下げると分子の動きは止まってしまう。
と、以前は考えられていた。
それを絶対零度という。
しかし、実際は絶対零度の世界でも多少の分子の振動はあるとわかっている。
つまり、完全な陰は存在しない。
水を完全な陰でなく、中に陽を含んだ☵で表現するのは素晴らしいアイディアだと思う。
アインシュタインの相対性理論では、エネルギーと物質は互いに変換される。
つまり陰と陽は、転化される。
中医学の世界でも、陰が極まると陽を生じ、陽が極まると陰を生じるとなっている。
昔の人の観察力はすごいものだと思う。


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