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中医学の歴史2 傷寒論

黄帝内経は、中医学の理論をうちたてた素晴らしい本ですが少し足りない部分もありました。
それは「命にかかわる感染症」の治療です。
黄帝内経の治療は鍼灸を中心としたものでしたから、体の調節とか慢性病の治療には非常にすぐれていましたが当時流行した疫病などの治療にはあまり効果がありませんでした。
そこで登場したのが「傷寒論」という書物です。
傷寒論は実用書としてかかれています。
傷寒という病気(恐らくチフスなどの伝染病)にかかった場合の治療方法が誰にでも解るように「こういう場合はこうしなさい」という箇条書き風にかかれています。
この中には理論らしい理論は記載されていません。
しかし、ある程度読み込むと、記載されていないだけで、実に多くの理論や経験が含まれている事が解ります。
黄帝内経に比べれば極めて短い書物ですが、こちにも深く研究すると一生かかっても追いつかない内容です。
そこに書かれている多くの処方は今でも多用されています。
みなさんがよく知っている葛根湯とか小柴胡湯などはここに書かれています。
また傷寒論とセットで金匱要略という書物も書かれました。
こちらは慢性病の治療のガイドブックのような存在です。
ただ、その中の処方は簡潔で無駄がなく、かつ治療効果の良いもので、今でも処方のお手本にされています。
所で、傷寒論は日本にも渡り、沢山の写本が見つかっています。
その中には傷寒論の原本ではないか?と思われるものもあります。
ですので、傷寒論が日本に伝わったのはかなり早い時期ではないかと思われます。

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