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妊娠中の活血薬について

血流を改善したり、血液をサラサラにする漢方薬を活血薬と言います。
昔は妊娠中に活血薬を使うと出血しやすくなり、流産の原因になると言われていました。
今でもそのように書かれている本やホームページがありります。
これは正しい部分もあるのですが、正しくない部分もあります。
不育症は、妊娠した赤ちゃんが正常でも何回も流産する場合を言います。
原因は抗体と考えられています。
抗体は、本来はウイルスや菌など外敵から身を守るものです。
ところがこれが暴走して敵ではないものを攻撃するのが花粉症や蕁麻疹などのアレルギーです。
さらに、自分の体の一部を敵と判断して攻撃してしまう場合があります。
これは自己免疫疾患といって、リウマチ、橋本病、1型糖尿病、膠原病など多くの病気がこれにあたります。
そして、子宮の中の胎児を攻撃してしまう抗体が出来てしまうのが不育症です。
抗体に沢山の種類があります。
私達の細胞膜はりん脂質でできていますが、リン脂質に対する抗体を抗リン脂質抗体と言います。
抗リン脂質抗体にも色々な種類があり、全部の種類を調べるのは大変です。
これらの抗体があると、血の塊、血栓が出来やすくなります。
血栓ができると、胎児に栄養が行かなくなり、死産や流産の原因になりります。
ですから、抗体のある人は血栓を予防する事が大切です。
病院でよく使われているのがアスピリンやヘパリンです。
どちらも血栓の予防になりますが、出血しやすくなる副作用があります。
ですから、慎重に使う必要があります。

漢方薬でも血流を改善して血栓を予防するものがあります。
これが活血薬です。
ヘパリンやアスピリンと違い、これを飲んで血液が止まりにくくなるという事はありません。
妊娠中に活血薬が必要な方と、飲まない方が良い方があります。
簡単に言えば瘀血があるか無いかで区別します。
本当に瘀血があるのか?活血薬が必要なのか?の判断はかなり難しいです。
ですから、妊娠中に活血薬を使う場合は、漢方の専門家に判断してもらいます。

西洋医学と漢方の考え方は全く違います。
西洋医学では、一つ一つの成分を重視して、この成分は妊娠中は良くないと判断します。
漢方は、一つ一つの成分よりは全体を重視します。
例えば、子宮を収縮する成分と、子宮の収縮を抑える成分が含まれている処方があります。
この場合は、含まれている成分の量と方向性が大切です。
反作薬と言って、わざわざ主薬と反対の作用のものを入れる場合があります。
スイカに塩をかけるのと同じです。
中医学はバランスの医学です。
白黒はっきりさせるという考えはありません。
全体的なバランスを大切にします。

油絵が上手な人が漫画も上手とは限りません。
その逆もです。
西洋医学と中医学は医学といっても油絵と漫画ほどの開きがあります。
西洋医学の達人が中医学とはいえないのです。



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