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抑肝散加陳皮半夏と加味逍遙散の違い

最近、よく質問されるのが抑肝散加陳皮半夏と加味逍遙散の違いです。
どちらも肝の気の流れを整える働きがありますが、少し作用が違っています。
この解説をする前にそれぞれの基になった処方、逍遥散と抑肝散で比べてみましょう。
共通する成分 柴胡 当帰 茯苓 白朮 甘草
逍遥散にたげ入っているもの 芍薬 薄荷
抑肝散にだけ入っているもの 川芎 釣藤
となり、かなり似通っています。
どちらも肝の働きを良くします。
肝は体は陰、用は陽といいます。
体とは肝臓そのもの、用はその働きです。
柴胡は気の流れをよくして肝の用の働きを良くします。
当帰は肝の体、特に肝血を補う作用が良いものです。
この2つで肝を補います。
肝の病気は脾に伝わります。
そこで脾を丈夫にする白朮、茯苓 甘草を加えてあります。
ここまでが共通部分です。
違うのは、芍薬、薄荷と川芎、釣藤です。
芍薬の働き 肝の血と陰を補う作用があります。 また収斂作用があります。
薄荷の働き 気の流れを良くします。 こもった熱を出す作用があります。 発散作用があります。
川芎    血の流れを改善します。血管を広げます。
釣藤    血管を広げます。 気の流れを良くして緊張を改善します。
この結果として
抑肝散は川芎、釣藤で血管を広げ血流を良くするので顏色が青い人に適しています。
逍遥散は潤いを与えたり、こもった熱をとる作用があります。
抑肝散は全体としては温める作用がかなりあります。
逍遥散は温める力は少しです。
逍遥散のこもった熱をとる力を強化するために山梔子と牡丹皮を加えたものが加味逍遙散です。
加味逍遙散は全体としては少し冷やす作用になります。
ではのでのぼせとかホットフラッシュに多用されています。
抑肝散加陳皮半夏は抑肝散に陳皮と半夏を加えたものです。
陳皮と半夏は痰湿をとる作用があります。
痰湿とは汚れた水や油、繊維などです。
茯苓、白朮にも痰湿をとる力がありますので、抑肝散も逍遥散もどちらも痰湿をとる作用がありますが
抑肝散加陳皮半夏はよりその力を強化しています。



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