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腎について

腎は、漢方ではもっとも大切な臓器とされています。
漢方でいう腎は、現代医学の腎臟だけではありません。
ホルモンや、エネルギーの生成、骨や発育なども腎と関係があります。
腎にはいろいろな働きがあります。
特に、生殖の力を腎気といいます。
さらに、先天の気というものを人間は産まれた時に両親から受け継いでいます。
この先天の気は腎精とも言われ、腎の中に蓄えられていまする
腎精は、とても大切なものです。
老化や寿命などは腎精と大きくかかわっています。
生殖の能力も腎と関係があります。
ですから婦人科系統の病気の多くが腎と関係があります。
また、副腎なども腎に属していますから、その他のホルモンも関係しています。

腎陽虚
腎陽は、身体の中の陽気の中心となっています。
簡単に言えば、腎陽は、身体の中のボイラーの役目をもっています。
身体全体を暖めたり、特に胃腸を暖めいてます。

腎の陽気が不足すると、身体全体が冷えてきます。
また、胃腸の働きが悪くなり、下痢をしたりします。
さらに、陽は水の流れを調節しています。
陽気が不足すると、水の流れを調節出来なくなります。
このために、水が体中にあふれ出して、浮腫や喘息などの原因になります。
また、腎はホルモンや生殖器と関係が深いので、腎陽虚は生理不順や不妊症の
原因にもなります。

腎の陽を補う時は、附子や桂皮などを用いて、素早く腎陽を助ける場合と、
鹿茸、杜仲、巴戟天などで、ゆっくりと腎陽を補っていく場合があります。

代表的な漢方薬は、右帰丸、海馬補腎丸、至宝三鞭丸があります。

腎陰虚
腎の中には、陰と陽があります。
腎の陽が、身体の陽中心であるように、腎の陰もまた身体の陰の中心と言えます。

腎は水と関係の深い臓器です。
つまり、腎陰は身体の中の水分の供給に関係しています。
このため、腎陰が不足すると、身体の中の水分が不足した状態になってきます。

皮膚がカサカサする肺陰虚
イライラしてのぼせる肝陰虚
やせて、疲れる脾の陰虚
動悸がして不眠などの心陰虚

これらの陰虚のすべては、腎陰虚と関係しています。
腎陰虚が原因で他の臓器に影響を与える事もあります。
他の臓腑の陰虚は、時間がたつと、必ず腎の陰虚を引き起こします。
何故なら、腎の陰は、他の臓器に陰を与える、ちょうど銀行のような役目をしているからです。

腎陰虚に用いるもっとも有名な漢方薬は六味丸です。

腎精不足
腎精は、両親からうけついだ先天の気を基に、脾胃から受け取る後天の気により
絶えず補充され、腎の中に蓄えられた人間の生きる爲の根本物質です。
この腎の精が不足すると、知能の低下、運動能力の低下、免疫機能の低下、
発育の低下などが起こります。

両親から受け継いだ先天の精は、薬では補う事はできません。
このために、腎精を補う爲には、後天の気である脾からの気を補っていく必要があります。

腎精を補うものとしては、紫河車、鹿茸、人参などが考えられます

腎血淤
腎血淤は、腎に淤血を生じた状態です。
通常は、腎の淤血は、あまり問題にしません。
しかし、実際の臨床では、腎血淤はよく見かける状態です。

腎には、実証はないという人がいます。
それは、腎は、精を臓する大切な臓器で、陰と陽の根元でもあるからです。
この大切な腎は、消耗こそすれ、邪がたまる事は無いという考えです。

しかし、そもそも臟というのは、ものを溜め込む性質のものです。
ですから、邪を溜め込む事もあります。

その溜め込む邪が何であるかによって、腎の湿熱や腎の血淤というものが考えられます。

腎の血淤の症状は、腰の部分の刺すような痛み、血尿などです。
よく使われる生薬は牡丹皮、生地黄などです。



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