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弦脈
弦脈とは、脈が固く、ちょうど弓の弦のような状態の脈です。
血管が収縮している状態と考えられます。
血管が収縮する原因としては、寒さ、ストレス、痛みなどがあります。
時に弦脈で、非常に長い脈の事があります。
このような場合は交感神経が興奮している事が多く、不眠症やイライラなどを伴う事が多いようです。
逍遥散を使うような場合は、弦でも細で、力は弱く、四逆散の場合は弦でもやや沈の事が多くなります。
弦脈の人は緊張しやすいタイプが多いので、つねにリラックスするように心がける事が大切です。
渋脈
渋脈は澀脈とも良い、流れが悪い状態の脈で、ちょうど滑脈の反対の脈になります。
中医学的な意味は、血液の汚れ、瘀血を意味しますが、それ以外にも血の不足(血虚)や気虚でも渋脈が出る事があります。
滑脈はちょっと慣れるとよく解る脈なのですが、渋脈が解るようになるには、少し訓練が要ります。
渋脈の渋るという感覚は口で説明出来ない感覚なので、誰かに教えてもらわないとなかなか解りません。
しかし、一度解ってしまうと、意外に渋脈の人は多いものです。
滑脈
滑脈は、流れが円滑な脈で、指にふれると玉がころころところがっているような感覚の脈です。
痰(汚れた水、脂、繊維)などが多い時にみられる脈ですが、それ以外によく見られるのが妊娠です。
中国や韓国の時代劇で、この脈がよく登場します。
妊娠検査薬やエコーがなかった時代は脈で妊娠なのか生理不順なのか判断しましまた。
妊娠でなくても高温期にはよく滑脈が診られます。
滑脈の条件としては、血管が軟らかく、かつ、流れがスムースな時にみられます。
もし、滑脈で、関の脈しか触れない場合は短脈となり、痰湿が多い場合の脈です。
滑脈で、寸関尺ともバランスよく触れる場合は、妊娠とか高温期、また気血がさかんな場合です。
沈脈
沈脈は、浮脈の反対で、軽く触れても解らないけども、力を入れて脈をとると解るものです。
「石が水の底に沈んだような脈」と言われいます。
沈脈は病気がない場合にもよくみられます。
特に寒い冬などは沈脈になりやすいです。
沈脈で力がある場合は病邪が裏(体表でなく体内)にある状態と判断します。
たとえば沈で遅、弦などの場合は裏に寒邪があります。
沈で数、洪大などの場合は裏に熱があります。
沈脈で力がない場合は裏が虚していると考えます。
陽気の不足、気血の不足があります。
ただ、陽気の不足、気血の不足でも必ずしも沈にならず浮になる事もあります。
陽虚で脈が浮に成る場合は陽の気が脱しようとしている重篤な場合があります。
また気虚、血虚の場合も浮脈になる場合は症状がひどい事が多くなります。
浮脈
浮脈は脈が浮いている状態です。
脈が浮いているとは、脈の部分をかるく触ると強く感じるけれども、強く押すと触れにくくなるものです。
邪気が体表にある場合と、気虚を意味する場合があります。
邪気が体表にある場合とは、風邪などの引き始めなどによくみられるように、急性病の始めによく見られます。
邪気の性質によって、浮でも軟らかい脈になったり、固い脈になったりします。
気虚の場合は、一般的には大きくて軟らかく、すこし締まりがない感じの脈になります。
気には体表を引き締める力があり、この力が不足するためです。
結脈と促脈
結脈と促脈はどちらも不整脈ですが違いがあります。
結脈は、遅脈の状態での不整脈です。
陰気が盛んで、気の流れが悪くなっている時に見られます。
血流は瘀滞して気が不連続になっています。
寒痰が心脈に停滞している場合などによく見られます。
病気が長引いて体力を消耗している状態です。
これに対して促脈は数脈の状態の不整脈です。
陽熱が盛んな場合とか、気血食痰などの鬱の場合にみられます。
正気と邪気が激しく争うと化熱して脈は速くなります。
この時に邪気によって一時的に脈気がつながらなくなると不整脈がおこります。
邪気がつよい場合は脈も速いだけでなく強くなります。
病気が長引いて正気が虚してくると脈も弱くなります。
遅脈
遅脈は、数脈の反対で、遅い脈です。
脈は熱があると速くなり、冷えると遅くなる傾向があります。
ですから遅脈は、冷えを意味します。
この場合は、冷えは、陽虚などのように身体が温める力が不足している場合と、「寒」邪をうけた場合があります。
陽虚の場合は、腎陽虚、脾陽虚、心陽虚などがあります。
これは、冷えている場所の違いですが、実際的には症状の違いになります。
寒邪の場合は、表裏を考えます。
また寒邪が長く体内に居座る宿寒の場合もあります。
あまりに脈が遅く、また不整脈を伴う場合は心臓に問題がある場合がありますからお医者さんの診察を受けて下さい。
これ以外に正常な遅脈もあります。
例えば、若い頃に激しい運動をしていた場合は心臓のポンプの力に余裕があります。
身体がスポーツに順応するためです。
この場合は運動していない時の脈は遅脈になります。
漢方的には、このような人は適度な運動を続ける事が大切です。
数脈
数脈とかいて、「さくみゃく」と読みます。
速い脈です。
速度だけの問題ですから、脈診の初心者でもすぐにわかる脈です。
非常に早い脈を疾脈と言いますが、漢方的な意味は同じで程度の違いになります。
数脈は一般的には熱を表します。
風邪や発熱性疾患で体内に熱がある場合に数脈になります。
ただ数脈がすぺて熱かというとそうとも言えません。
数脈には気虚の場合と血虚の場合がよくあります。
気が充分にあれば、心臓はゆっくりと、力強く血液を送り出します。
ですから、多少の運動でも数脈にはなりません。
心臓が押し出す力が充分でないと、少し動いただけで血液の供給量が不足して心臓がバクバクします。
これが気虚で数脈になる理由です。
また、血が不足しても血液の供給量が不足して、心臓がそれをカバーしようとして数脈になります。
簡単に言えば心が空回りしている状態です。
この場合は多くは、動悸や息切れが見られます。
脈診について
今回より脈診について、少しずつ書いていこうと思います。
私は鍼灸師の免許を持っていますから、自由に漢方的な脈診をする事が出来ます。
脈診をする時は、いろいろな流派があります。
一般的には、次指(人差し指)、中指、薬指の3本の指を橈骨動脈にあてて脈診をします。
この時、次指が手首にくるようにて、3本の指をならべます。
次指にあたる部分を寸脈、中指にあたる部分を関脈、薬指にあたる部分を尺脉といいます。
寸脈は上半身、関脈は身体のまん中、尺脉は下半身の意味があります。
右手は気にかかわるので、寸は肺 関は脾 尺は腎陽(命門)となります。
左手は血
治則 宿火
いろいろな宿邪は体内に長期に止まると化火する事が多くなります。
そのため宿邪の中では宿火が一番多くみられます。
宿火の治療は宿火が何処にあるかによって違いがあります。
多くは温病の理論「衛気営血」辨証を用います。
例えば李振波という中医師は白血病を伏気の温病の理論で治療しています。
また張志堅という中医師は温病で用いられる昇降散でアレルギー性の紫斑病性腎炎、アレルギー性血管炎、シーグレン症候群、非細菌性尿道炎などを治療しています。
アトピー性皮膚炎も宿火の一種ですが、宿火が血分にある場合、気分にある場合、衛分にある場合などで使う漢方も異なってきます。
またヘルペスなどのウイルス疾患も宿火の一種と考えます。
清熱解毒の板藍根などがよく使われますが、これはインフルエンザにもよく使われています。
ヘルペスは宿火ですが、インフルエンザか外邪です。
この違いはありますが、使う漢方は良く似ています。
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