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404.中医学で脳はどこにある?
中医学では、骨は腎の一部であるとしています。
ですから、骨の中の骨髄も腎の一部分と言えます。
背骨の中にある骨髄も腎の一部です。
そうすると、脊髄につながっている脳も腎の一部なのでしょうか?
中医学の記載に、「脳は髄海である」との記載があります。
つまり脳もまた腎の一部と言えます。
中医学では、心は心臓の以外にも、「こころ」つまり意識とか思考を含んでいます。
心には神が住んでいて、神はすべての思考の中枢です。
神には家来がいて、肺に住んでいる魄、肝にすんでいる魂、脾に住んでいる意、腎に住んでいる志があります。
それぞれの働きを説明すると長くなるので、次回以降にお話します。
さて、脳の話に戻ると、脳は物質としては腎の一部ですが、働きとしては心の一部となります。
同じものが、物質と働きとに分けて考えるのは不思議ですね。
これはコンピューターのハードとソフトの関係に似ています。
ハードウェアは物質であり腎です。
これに対して、それを動かすソフトは心なのです。
このように考えると、何の矛盾もありません。
ですから、脳の働きを正常に保つには腎と心、ハードとソフトが正常に機能する事が大切なのです。
403.末梢血管抵抗
冬は末梢血管抵抗が高くなりやすい時期です。
血流計でみても、冬の時期は末梢血管抵抗値が高い人が多いです。
末梢血管抵抗値が高いという事は、細い血管の血流が悪いという事です。
原因としては
1.血管が硬い
動脈硬化の場合もありますが、多くは血管が収縮しています。
ストレス 冷え、痛み、運動不足などが考えられます。
気の流れを良くする漢方や、体を温める漢方などを使います。
2.血管が細い
生まれつき細い場合もありますが、血の量が少なくなっている事が多いです。
いわゆる血虚の状態で、血を増やす漢方を使います。
またエネルギー不足の状態で、血を押し出す力が足りない場合もあります。
3.血の汚れ
いわゆる瘀血の状態です。
瘀血を改善する漢方薬を使います。
末梢血管抵抗が上がると、手先足先の冷え、肩こり、頭痛、筋肉痛、生理痛、高血圧などになりやすいです。
また、末梢血管からおしだされた血が上にのぼり、のぼせの原因になる場合もあります。
402.肌の乾燥は潤す漢方?
冬は肌が乾燥しやすい季節です。
肌が乾燥しているなら、潤す漢方を使えば良いでしょうか?
肌という一部分だけ考えるならそれで良いでしょう。
しかし、体はつながっています。
皮膚が乾燥しているからと言って、体内も乾燥しているとは限りません。
皮膚が乾燥していても、体内に熱がこもっている場合があります。
また、血の汚れがあり、血流が悪くなっている場合があります。
水分が不足しても油分は過剰な場合もあります。
アトピーなどのように、皮膚の表面は乾燥しても少し下には湿熱といった汚れが蓄積している可能性もあります。
このように乾燥だから単純に潤すのが言いとは言えません。
あくまでも乾燥の原因を考える事が大切です。
401.抜け毛
抜け毛の原因は、毛根の栄養不足です。
しかし、毛根に栄養が行かない理由はいくつか考えられます。
大きく分けて、そもそも体内の栄養が足りない場合と、体内に栄養は充分にあっても上手く毛根まで届けられない場合があります。
中医学では髪は血の余りと考えています。
ですから、黒くツヤツヤした髪の毛の為には充分な血が必要です。
血虚と言って血が足りない状態の場合は、まず血を増やす漢方薬を使います。
それと同事に血を増やす食事にも気をつける必要があります。
漢方は血が増えるのを助ける作用はありますが、血液の原料も必要です。
一流のコックさんでも、食材が無ければおいしい料理は作れませんね。
それと同じです。
体には血が充分にあっても、毛根まで届かない場合があります。
何かが配達の邪魔をしているのです。
では何でしょうか?
考えられるのは血の汚れ、脂の汚れなどです。
これを中医学では瘀血とか痰湿と言います。
これらが原因の場合は瘀血や痰湿を取り除く漢方薬を使います。
また気滞といって、気の流れが悪いと血管が収縮します。
この場合も血流が悪くなり、髪の毛が細くなったり抜け毛が多くなります。
気滞の原因はストレスが多いので、ストレスによる抜け毛は気滞を考えます。
円形脱毛症と言った特殊な場合は、免疫のバランスで、考え方はアレルギーと同じです。
円形脱毛症の漢方はまた機会があればお話します。
400.免疫は強い方が良いのか?
免疫が強いと、風邪をひかない、ガンにならないなど良い事が多いように思える。
しかし、実際はそうではない。
免疫は強すぎても弱すぎても良くないのだ。
免疫が強すぎると体内で炎症が起こりやすくなる。
体内にウイルスが侵入した時に、激しい反応がおこり、高熱で意識が朦朧とする。
では免疫が弱い方が良いのかと言うとそうでも無い。
免疫が弱いといつまでたってもウイルスが出ていかない。
病気が長引くのだ、
体に負担が少ない強さで、しっかりウイルスを駆除するのが良い。
免疫が弱い場合は漢方では補気薬を使う。
風邪の初期に補気薬を使うと、免疫が強くなりすぎて、高熱が出たり、体がしんどくなったりする場合がある。
だから風邪の初期は去風薬といって、免疫のバランスを整える作用のものを使う。
去風薬は免疫を整える作用があるので、アレルギーにも有効だ。
漢方の風邪薬とアレルギーの薬は同じ事が多い。
風邪の初期で、免疫がとても弱っている場合は勿論補気薬を使って良い。
なんでもバランスが大切なのだ。
399.冷えの概念
中医学では、体を温める力を陽気と言っています。
陽気も気の一部なのですが、温める力を特に重視しているのです。
一つの理由は、陰と陽の概念が関係しています。
陰は、冷たいもので代表が水とか土です。
これに対して陽は温かいもので代表が火です。
体の中には陰と陽があって、お互いに強くなりすぎないようにバランスをとっています。
気も広い意味で陽の一部です。
気の中に、普通の気と陽気がある
陽の中に、陽気と普通の気がある
どちらも成り立っています。
では、普通の気と陽気の違いは?
普通の気は運動エネルギー、陽気は熱エネルギーと考えると理解しやすいです。
この2つは相互に変化するので、違いはあっても本質的には同じものと言えます。
かなりアバウトですが、アバウトなものをアバウトのまま考えるのが中医学の良い所です。
398.エネルギー不足
すぐ疲れる
朝おきれない
これは中医学では気虚といいます。
エネルギー不足です。
エネルギー不足が不足する場所によっていろいろな症状がおこります。
胃腸の気が不足すると、消化する力が弱くなり、食欲が無い、もたれる、下痢をする、便が出ないなどの症状がおこります。
肺の気が不足すると、すぐに息が切れる、呼吸がしにくいなどがおこります。
心の気が不足すると、動機がする、少し動くと心臓が苦しい、不安感などがあります。
気虚の症状は、前回お話した血の不足の血虚の症状と似ている部分があります。
気が不足すると血を作れない。
ですから、気虚が原因で血虚になる事も多いのです。
また血が不足すると気の供給にも影響します。
気と血は相互に依存しているのです。
気虚と血虚の違いは舌の色や脈でわかります。
ただ、必ずしも明確に区別する必要はありません。
気血両虚というくくりで、血を補うものと気を補うものを同事に使うと良いでしょう。
目に見える血と目に見えない気が、体の中を流れて、色々な働きをしているという考え方はとても面白いですね。
397.血虚の症状
中医学で言う血虚は、血の不足です。
病院で検査する貧血も血虚の一部ですが、貧血が無い血虚も沢山あります。
病院で検査する貧血は、血液の赤血球や鉄の濃度です。
血液全体の量とか、流れは考慮しません。
濃度が正常でも、全体の量が少ない場合もあります。
また血流が悪くて、一部の血が不足する場合もあります。
中医学的な血虚の症状は次のようなものがあります。
脈が細い
脈が弱い
舌の色の赤みが少ない
たちくらみ
冷え性
生理の色が薄い、量が少ない、だらだら続く
髪の毛が細い、抜けやすい
爪がもろい
血圧が低い
朝おきづらい
などの症状がよく見られます。
勿論、全部の症状が揃ってある分けではありません。
また血虚以外の原因もあります。
396.体力があるか、無いか
漢方薬の効能効果に、「比較的体力があり....」とか「体力がなく...」といった記載があります。
これはどういう事なのでしょうか?
もともとの中国の漢方の考え方として、病気がおこるのは
「体に必要なものが足りない」 正虚
「体に余分な汚れがたまる」 邪実
の2つがありました。
これが日本式になった時に
体に必要なものが足りない 体力がない 虚証
体に余分なものがある 体力がある 実証
という分類におきかわりました。
この置き換えは正しい場合もあるし、正しくない場合もあります。
特に問題は、体に汚れがたまると疲れやすくなります。
これは虚証なのか実証なのか?
桂枝茯苓丸など、血の汚れを綺麗にするものは、血の汚れがあれば体力とは関係なく飲む事が出来ます。
ただ、桂枝茯苓丸の効能には「比較的体力があり」となっています。
また、体力があるか無いかは、とても大雑把な概念です。
そもそも体力って何?
個人的な意見ですが、漢方の効能効果から体力があるか無いかの記載は外す方が良いと思います。
395.潤す漢方と乾かす漢方
体に余分な水がたまっている場合は、余分な水を取り除く作用の漢方を使います。
ここで注意しないといけないのは、乾かし過ぎない事です。
気の流れを良くする漢方、発散する漢方なども乾かす作用があります。
温める作用の漢方も乾かすものが多いです。
トータル的には、多くの漢方が乾かす作用になります。
ですから、乾かしすぎに注意します。
ごく簡単に見分けるのは、舌の苔です。
舌の苔が厚い場合は乾かす作用のものは大丈夫です。
舌に苔がなく、ツルツルの場合は潤い不足の可能性が高いので要注意です。
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