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171.牢脈

牢脈とは、沈んでいて、太く固く、また動かない脈です。
牢は閉じ込めるという意味ですから、閉じ込められた脈です。
意味としては邪実で、邪気が裏にあるという意味です。
多くは寒邪ですが、熱邪の場合や食滞などの場合もあります。
もし、虚証で見られる場合は、体証と脈証があっていない事になり、あまり良い状態ではありません。
冬の寒い時期はたまに牢脈がみられますが、夏はあまりみられません。

170.散脈

散脈は、浮で力がなく、強く触れると散ってなくなってしまう脈です。
速さも一定ではありません。
このような脈がみられるのは、元気が散乱している状態で、危険な状態です。
当然、お店に来られるような方ではこのような脈の人はありません。

169.革脈

革脈は弦脈に似ていますが、弦脈より少し太い事が多いです。
また、浮脈になる事が殆どです。
太くて、浮いていて、大きく力強い感じの脈ですが、少し力を入れてみると中が空洞のような感じがします。
革脈は実ではなく、虚の脈です。
気虚や陽虚でよく見られます。
もし血虚の場合で革脈が見られる場合は、陽気が脱しようとしている場合があり、これはあまり良くありません。
革脈は、長脈になりやすく、疲れやすい、動悸、不眠、多汗などを同時にうったえる事が多い脈です。

168.緊脈

緊脈は、弦脈に似ています。
弦脈よりもっと固く、ちょうど弦脈を、こよりのようによって、つよくした感じです。
弦脈との区別はあいまいで、どこまでが弦脈で、どこからが緊脈なのかという判断は、診察する人の主観が入ります。
意味としては、弦脈とほぼ同じですが、慢性病で緊脈が出る事は少なく、殆どが急性病になります。
風寒の邪気が体表をおかしたような場合によくみられる脈です。
また、強い痛みなどでも緊脈が出ます。
緊脈は体に強いストレスを受けている状態ですから、緊脈が長く続くのは良くありません。
ですから緊脈が見られた場合は、適切な治療が必要になります。

167.弦脈

弦脈とは、脈が固く、ちょうど弓の弦のような状態の脈です。
血管が収縮している状態と考えられます。
血管が収縮する原因としては、寒さ、ストレス、痛みなどがあります。
時に弦脈で、非常に長い脈の事があります。
このような場合は交感神経が興奮している事が多く、不眠症やイライラなどを伴う事が多いようです。
逍遥散を使うような場合は、弦でも細で、力は弱く、四逆散の場合は弦でもやや沈の事が多くなります。
弦脈の人は緊張しやすいタイプが多いので、つねにリラックスするように心がける事が大切です。

166.渋脈

渋脈は澀脈とも良い、流れが悪い状態の脈で、ちょうど滑脈の反対の脈になります。
中医学的な意味は、血液の汚れ、瘀血を意味しますが、それ以外にも血の不足(血虚)や気虚でも渋脈が出る事があります。
滑脈はちょっと慣れるとよく解る脈なのですが、渋脈が解るようになるには、少し訓練が要ります。
渋脈の渋るという感覚は口で説明出来ない感覚なので、誰かに教えてもらわないとなかなか解りません。
しかし、一度解ってしまうと、意外に渋脈の人は多いものです。

165.滑脈

滑脈は、流れが円滑な脈で、指にふれると玉がころころところがっているような感覚の脈です。
痰(汚れた水、脂、繊維)などが多い時にみられる脈ですが、それ以外によく見られるのが妊娠です。
中国や韓国の時代劇で、この脈がよく登場します。
妊娠検査薬やエコーがなかった時代は脈で妊娠なのか生理不順なのか判断しましまた。
妊娠でなくても高温期にはよく滑脈が診られます。
滑脈の条件としては、血管が軟らかく、かつ、流れがスムースな時にみられます。
もし、滑脈で、関の脈しか触れない場合は短脈となり、痰湿が多い場合の脈です。
滑脈で、寸関尺ともバランスよく触れる場合は、妊娠とか高温期、また気血がさかんな場合です。

164.沈脈

沈脈は、浮脈の反対で、軽く触れても解らないけども、力を入れて脈をとると解るものです。
「石が水の底に沈んだような脈」と言われいます。
沈脈は病気がない場合にもよくみられます。
特に寒い冬などは沈脈になりやすいです。
沈脈で力がある場合は病邪が裏(体表でなく体内)にある状態と判断します。
たとえば沈で遅、弦などの場合は裏に寒邪があります。
沈で数、洪大などの場合は裏に熱があります。
沈脈で力がない場合は裏が虚していると考えます。
陽気の不足、気血の不足があります。
ただ、陽気の不足、気血の不足でも必ずしも沈にならず浮になる事もあります。
陽虚で脈が浮に成る場合は陽の気が脱しようとしている重篤な場合があります。
また気虚、血虚の場合も浮脈になる場合は症状がひどい事が多くなります。

163.浮脈

浮脈は脈が浮いている状態です。
脈が浮いているとは、脈の部分をかるく触ると強く感じるけれども、強く押すと触れにくくなるものです。
邪気が体表にある場合と、気虚を意味する場合があります。
邪気が体表にある場合とは、風邪などの引き始めなどによくみられるように、急性病の始めによく見られます。
邪気の性質によって、浮でも軟らかい脈になったり、固い脈になったりします。
気虚の場合は、一般的には大きくて軟らかく、すこし締まりがない感じの脈になります。
気には体表を引き締める力があり、この力が不足するためです。

162.結脈と促脈

結脈と促脈はどちらも不整脈ですが違いがあります。
結脈は、遅脈の状態での不整脈です。
陰気が盛んで、気の流れが悪くなっている時に見られます。
血流は瘀滞して気が不連続になっています。
寒痰が心脈に停滞している場合などによく見られます。
病気が長引いて体力を消耗している状態です。
これに対して促脈は数脈の状態の不整脈です。
陽熱が盛んな場合とか、気血食痰などの鬱の場合にみられます。
正気と邪気が激しく争うと化熱して脈は速くなります。
この時に邪気によって一時的に脈気がつながらなくなると不整脈がおこります。
邪気がつよい場合は脈も速いだけでなく強くなります。
病気が長引いて正気が虚してくると脈も弱くなります。

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