深谷薬局 養心堂

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134.熱湯

当たり前ですが、熱湯は身体を温め、経絡を通じます。
「百沸湯」とも「太和湯」とも言います。
霍亂(コレラのような吐き下し)で筋肉が痙攣するものを治すとあります。
薬ではないですが、場合によっては起死回生の効果もあるかも知れません。
なぜか、本草綱目では、「中途半端に沸騰したものを飲むと元気を損なう」とあります。
そんなもんでしょうか?

133.生熟湯

別名、陰陽水。
これは、すごい水です。
作り方は簡単で、熱湯と冷たい水を混ぜたものです。
熱湯は陽、冷たい水は陰ですから、これをまぜて陰陽を調和する働きがあります。
陰陽が通じないと、清気は昇らず、濁気は降りないため、吐き下しがおこります。
この時に陰陽水で、陰陽を調和されると、清気が昇り、濁気が降ります。
中医学の理論では、このようになります。
ただし、実際の効果が何処まであるのかは、私には解りません。

132.漿水

漿は酢の事です。
炊飯した粟や米を冷水に5-6日浸しておくと酸っぱくなり表面に白い泡のようなものが浮かんできます。
李と一緒にとると、吐き下しになるので、一緒にとらないようにと、注意書きがあります。
胃の働きを良くして、喉の渇きを止め、吐き下し、消化不良に良いとあります。
お粥にして夕暮れに飲むと、よく眠れるそうです。
また美白の効果があると書かれています。
発酵食品はやはり身体に良いのですね

131.磨刀水

今回は磨刀水です。
その名のとおり、刀のとぎ汁です。
効能は、尿が出ない時に使います。
あと、肛門が腫れて痛む場合も良いとあります。
毒蛇にかまれた時にも良いようです。
耳の中が急に痛い時、耳に少し注ぎ込むといいと書かれています。
効能の程は解りませんが、現代では全く使われていません。

130.浸藍水

これは、藍染めの水です。
藍は、板藍根として、清熱解毒の作用があります。
現在ではインフルエンザなどウイルス性の疾患に多用されています。
藍染めの水ですから、当然、板藍根と同じ作用があります。
効能は、徐熱、解毒、殺虫、喉の痛みとつかえに良いとあります。
本草綱目には、その後に面白いエピソードが書かれています。
「昔、ある人が酔っぱらって、田んぼの水を飲んだら、間違って蛭(ヒル)も一緒に飲み込んでしまった。
 胸やお腹が張り痛み、顔が黄色くなった。色々な医者にみてもらったが効果が無い。
 ある宿屋で、非常に口が渇いていたので、間違えて藍染めの水を飲んでしまった。
 そうすると、何回も下痢をした。下痢の中には無数の蛭が入っていた。
 病も頓挫に癒えた。」
とあります。蛭は活血薬ですが、さすがに生きたまま飲み込んではいけませんね。

129.妊娠と漢方薬

なかなか妊娠しない方で、漢方薬を飲みたいという方がとても多くなっています。
その場合の注意点をいくつかあげてみます。
漢方薬はホルモン剤のような即効性はありません。
それを飲んだからといって、すぐにその周期から基礎体温が綺麗になるとは限りません。
また、子宮や卵巣は目には見えない部分ですから、変化も解りづらいものがあります。
ですので、体質にあった漢方薬をまずは3ヶ月は続ける事が大切です。
卵胞は赤ちゃんの頃から卵巣にあり、排卵の順番を待っています。
順番が来ると卵胞は膨らみ始めます。
そして膨らみ始めてはら排卵すまで、何と6ヶ月半もかかっています。
始めの4ヶ月くらいは、FSHの影響をうけない自発的な成長です。
後の3ヶ月くらいはFSHの刺激により卵胞は膨らんでいきます。
この3ヶ月が卵胞の成熟にとても大切な時期です。
ですから、卵を良くしたいなら、最低3ヶ月かかると言う事です。
周期療法の場合で、今月は夫婦生活のタイミングがとれなかったからといって、高温期の漢方薬を飲まない場合があります。
しかし、高温期用の漢方薬はその周期の為だけでなく、排卵の順番を待っている全部の卵胞の為にあります。
ですから、なるべく忘れないように飲む事が大切です。
また、すべてが周期療法で解決する訳ではありません。
排卵障害のある場合、多嚢胞性卵巣、高プロラクチン、卵管の閉塞、子宮内膜症、子宮筋腫、内膜のポリープ、受精障害、着床障害、不育症など
周期療法があまり適さない場合もあります。
このような場合は、中医学的には、痰湿や瘀血というような、体内の汚れや、気の流れの問題が大きいため、汚れを綺麗にしたり気の流れを改善したりするような漢方薬を使っていきます。
不妊症のご相談をされる時は、ぜひ、不妊症に詳しいお店を探して見て下さい。

128.明水

明水は、淡水の大きな貝の中の水です。
月明かりの夜、これを捕まえて中の水2-3合を得ます。
目を洗えば、目がはっきり見えるようになり、これを飲めば、安神作用があり、子供の煩熱を冷ますとあります。
月明かりの夜にとらないと効果が無いかというと多分そうではなくて、暗い中での作業のため月明かりがあった方が良いという事でしょう。
では、昼にとったらどうなるかというと、それは解りません。
何かきっと夜の方が良い理由があるのでしょう。

127.冬霜

冬霜があるので、夏霜があるかというとそうでなくて、冬霜はただの霜です。
霜柱をとって、鳥の羽で掃いて綺麗にし、瓶に保存します。
甘、寒、無毒。
「これを飲むと酒熱を解す。酒を飲んで顔や耳が赤い時、これを飲むとたち所に赤味が消える。」
今なら氷水でしょうけど、冷蔵庫が無い時は、それも良いかも。
夏のアセモや、脇の下が赤く腫れる場合に、淡水貝の殻の粉とまぜて使えばたち所の効果がある、とも。
さらには、発熱、マラリア、鼻づまりなどにも応用されています。
しかし、所詮水ですから、そんなにたいした効果は期待出来ないでしょうね。

126.腊雪

中国語で腊月というと、旧暦の12月を意味します。
『本草綱目』では、冬至の後、三回目の戊(つちのえ)を腊と言うと書かれていますから、まあ旧暦12月ころでしょう。
野菜や麦の虫を殺す、つまり農薬のような役目をする。
密封しておけば、10年腐らないと。
また果物をつけておくと虫がわかない。
などと書かれています。
本当にそんな効果があるのかかなり疑問です。
効能も「一切の毒を解す、流行している疫病、子供が熱で発狂するような場合、結石、お酒の後の熱、黄疸を治す。」
とあります。
やはりちょっと無理があります。
『本草綱目』は学術的には高い評価があります。
ただ、迷信的な記載もかなりありますから、盲信しない事が大切です。
たとえば雪は六角形なので陰の成数。とかかれています。
陰陽の考えでは奇数は陽、偶数は陰です。
その中でも陰の代表が6で、陽の代表が9となります。
占いなどでは多用されている理論ですが中医学としては必ずしもあてはまりません。

125.夏氷

氷は太陰の精。
冷蔵庫の無い頃は、山の中の氷穴などに保存したようです。
『本草綱目』では、甘、冷、無毒となっています。
生薬は、普通、寒、凉、平、温、熱 などで冷というのは無いのですが、ここでは冷となっています。
効能は、煩熱を去り、喉の渇きをとり、暑毒を消す。熱にうなされて意識がもうろうとする時、
ひとかたまりの氷を胸の中央に置くと良い。
また酒毒を解する。
夏の暑い時に冷たい氷を食べる事は季節に相反している。
そうすると、腹中の冷と熱が争って病気になる。
だから、夏の冷たいものはほどほどにすべきである。
宗の時代の微宗は、冷たいものを食べ過ぎて、脾の病気になった。
国家の医師では治療できず、楊界という人が大理中丸(脾胃を大いに温める薬)で治療した。
などと書かかれてあります。
もっともな事です。

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