タイトル一覧
虎骨
虎骨というのは、その名の通り、虎の骨です。
特に前足の骨は、太いので、とても珍重されていました。
勿論、今はワシントン条約などもあり、虎骨は使われていません。
以前は、中国の街角で見かける事がありましたが、今はありません。
仮に見つけても日本への持ち込みは一切出来ませんし本物ではないでしょう。
イスクラ産業の中成薬には、「舒筋丸」「活絡丹」「海馬補腎丸」に虎骨が含まれていました。
舒筋丸、活絡丹は、発売中止になりました。
海馬補腎丸は、虎骨の入っていないものになりました。
ただ、ありがたい虎の骨ですが、どこまでの鎮痛効果があるかはやや疑問です。
どうしても貴重な物をありがたがる傾向があり、困ったものです。
六鬱
中医学で鬱とは流れが悪い状態を言います。
鬱という漢字を10回書けと言われたら鬱になりますね。
この漢字の下の部分はお米を発酵させてお酒を作っている様子です。
それに蓋をして2つの木と缶でおもりをして香りが逃げないようにしています。
つまり香りを閉じ込めている様子です。
閉じこもって流れが悪い状態です。
中医学では6種類の鬱があります。
気の流れが悪い気鬱
血の流れが悪い血鬱
脂や粘っこいものの流れが悪い痰鬱
水の流れが悪い湿鬱
食べたものが消化しない食鬱
そしてそれらが長く続くと熱がこもって火鬱となります。
火鬱は冷やすと余計に流れが悪くなるので、発散する事が大切です。
乾姜と生姜
「しょうが」は代表的な漢方薬ですか、その使い方によって効能が異なります。
また、日本と中国で製法も違い、名称も異なりますから、とても注意が必要です。
まず中国の場合です。
生姜 しょうきょう 生の乾燥していない「しょうが」です。生のものを購入してスライスして、煎じ薬に入れます。
温める作用はあまり強くなく、発散作用と、吐き気止めの作用があります。
葛根湯や桂枝湯によく使われています。
乾姜 かんきょう 生姜を乾燥させたもの。温める力が強くなり、胃腸を温めたり、止血作用もあります。
日本の場合
生姜 しょうきょう 日本で生薬の生姜を購入すると、乾燥したもの、つまり中国の乾姜と同じものです。温める作用は強いですが、発散される作用は殆どありませんから、本来生姜を使う所に日本の生姜を使うのは誤りです。
乾姜 かんきょう しょうがを乾燥させて、蒸したもの。中国ではこのようなものはありません。ですので、中医学的な作用は不明です。
炮製について
生薬を加工する事を炮製といいます。
炮製によって、毒をのぞいたり、効き目をよくしたりします。
「鮮」 生薬そのものを乾燥させないで、冷蔵庫に保管したもの。野菜と同じ保存。
例 鮮地黄(せんじおう) 生地黄より涼血作用が強くなります。
「生」 生薬を加工せず、乾燥させて刻んだもの。
「熟」 多くは蒸したもの。酒をつかって蒸す事が多い。
例 熟地黄 熟田七 生のものより補う力がつよくなります。
「炙」 炙る。本来は、生薬を直接火にかざします。焦げないように表面にハチミツや酒などの液体をつけます。スッポンの血を使う事も。イメージとしては北京ダックのイメージです。ただ、今は鍋などに入れて炒める場合もあります。
例 別血柴胡 すっぽんの血で炮製する事で、柴胡の発散作用を弱めまず。吐血などの場合に使われます。
「炒」 素焼きの鉢などで火を通します。フスマなど固形物を入れて一緒に炒める場合もあります。
「炮」 附子など毒性を取り除くため、高温の灰の中に長くうずめて、毒を分解する方法。
現代は炙と炒の区別があいまいになってしまっていますが、炙は液体をしみ込ませる、炒はそのまま、または固形物と一緒に炒ると理解して下さい。
さて、ここで例外があります。
それは、前回出て来た「しょうが」です。
中国の生姜(しょうきょう)は、乾燥していないものですから、本来は「鮮生姜」または「鮮姜」と呼ぶべきです。
また乾姜は乾燥させただけですから、「生姜」と呼ぶべきです。
このあたりが混乱を招いた原因と思います。
8月 26th, 2010
生薬を加工する事を炮製といいます。
炮製によって、毒をのぞいたり、効き目をよくしたりします。
「鮮」 生薬そのものを乾燥させないで、冷蔵庫に保管したもの。野菜と同じ保存。
例 鮮地黄(せんじおう) 生地黄より涼血作用が強くなります。
「生」 生薬を加工せず、乾燥させて刻んだもの。
「熟」 多くは蒸したもの。酒をつかって蒸す事が多い。
例 熟地黄 熟田七 生のものより補う力がつよくなります。
「炙」 炙る。本来は、生薬を直接火にかざします。焦げないように表面にハチミツや酒などの液体をつけます。スッポンの血を使う事も。イメージとしては北京ダックのイメージです。ただ、今は鍋などに入れて炒める場合もあります。
例 別血柴胡 すっぽんの血で炮製する事で、柴胡の発散作用を弱めまず。吐血などの場合に使われます。
「炒」 素焼きの鉢などで火を通します。フスマなど固形物を入れて一緒に炒める場合もあります。
「炮」 附子など毒性を取り除くため、高温の灰の中に長くうずめて、毒を分解する方法。
現代は炙と炒の区別があいまいになってしまっていますが、炙は液体をしみ込ませる、炒はそのまま、または固形物と一緒に炒ると理解して下さい。
さて、ここで例外があります。
それは、前回出て来た「しょうが」です。
中国の生姜(しょうきょう)は、乾燥していないものですから、本来は「鮮生姜」または「鮮姜」と呼ぶべきです。
また乾姜は乾燥させただけですから、「生姜」と呼ぶべきです。
このあたりが混乱を招いた原因と思います。
胃と脾
食べたものを消化する場所というと、まず胃を思い浮かべますが、中医学では食べたものを消化するのは脾という場所です。
胃は、食べたものを入れる器で、消化は脾でおこなわれます。
食べたものは、まず胃に格納させ、そこから脾に運ばれて、消化(運化)がおこなわれます。
ですので、中医学では胃と脾を明確に分けています。
脾の気は上がり、胃の気は下がる性質があります。
脾の気が上がらなくなると、栄養が肺に運ばれなくなります。また、栄養が下に漏れて下痢になります。
胃の気が下がらなくなると、胃がつまった感じになり、吐き気が出、時に嘔吐します。
脾は湿を嫌い、胃は燥を嫌います。湿気の多い状態ですと脾の消化の力が無くなります。また胃が乾くと胃液が出なくなります。
ですので、胃腸の病気の場合は、問題が脾にあるのか胃にあるのかを考える必要があります。
太りやすい体質の人は、胃強脾弱の場合がよくあります。受け皿としての胃は丈夫なので、どんどんと胃に食品を溜め込みます。
しかし、脾が食べたものを運化しないので、体の中に脂肪や水として蓄積されてしまいます
上昇気流と下降気流
清代の名医、張錫純は、著書の中で面白い事を言っています。
黄耆は温性で上に昇る性質がある。
知母は凉性で下に降りる性質がある。
例えれば、黄耆は上昇気流で、知母は下降気流になる。
上昇気流と下降気流があわさると雨になる。
これと同じように、黄耆と知母をあわせると、体を潤す事が出来る。
ちょっと屁理屈っぽいのですが、張錫純はという人は、それで沢山の患者さんを治しているのですからすごいです。
数脈
中医学でいう脈の一つに数脈があります。
数脈と書いて「さくみゃく」と読みます。
見てのとおり、通常より早い脈です。
数脈の原因は中医学では「熱」とされています。
つまり体内に熱がこもっている場合によく数脈が現れます。
例えば風邪をひいた時やアルコールを飲んだ時などです。
この他、中医学の教科書にはあまり記載されていませんが、臨床的には気虚の場合が多くあります。
気虚、特に心気虚があると、心臓のポンプの力が弱くなります。
つまり心臓に余裕が無くなります。
そうすると、心臓が一生懸命働くので、脈拍は多くなります。
ただ、1回に送り出す血液の量は少ないので、血流としては普通です。
おなじ理由で、血虚がある場合も心臓は少ない血を一生懸命流そうとするので数脈になります。
血虚の場合は心臓が空回りしてしまい、動悸がおこる事もあります。
黄色は中央
五行を方角であてはめると、北は黒で水(腎)、南は赤で火(心)、東は青で木(肝)、西は白で金(肺)になります。
そうすると、黄で土(脾)の部分が余ってしまいます。
そこで、黄土をなんと中央にあてあめます。中央って方角なの?と思いますが、中央は方角の中で一番偉く東西南北を支配しています。
ですから、中国の皇帝は、黄帝といい、いつも黄色い服を着ています。
五行を数であらわしたものを生数といいます。水は1、火は2、木は3、金は4、そして土は5です。
土は中央で、四方に影響力をおよぼします。
ですから、水の1は、中央5の影響をうけ、5+1で6になります。これを成数といいます。
他の方角も同じです。
これを別な見方からいうと、5は脾で、後天の代表です。
人間は先天的な部分と後天的な部分をもちあわせています。
ですから、先天の部分に後天の部分をあわせて成数とします。
ちょうど脈診で、後天の胃気はすべての部位に現れる事と似ています。
大根
中医学では、汚れた水、脂、繊維を痰湿(たんしつ)と言います。
痰湿の中でも、粘っこいものを痰、さらさらしたものを湿と言っています。
ですから、体の中の脂などは痰になります。
痰を溶かす事を化痰といいます。
漢方では、半夏がこの作用がとても強いものです。
食品の中では、大根が強いでしょう。カラシやワサビにもかなり強力な化痰作用がありますが量は食べられません。
大根は、化痰以外にも、消導(消化を助ける作用)、開胃(胃を動かし、食欲を出す)作用があります。
一般的には、化痰作用のあるものはダイエットの効果もあります。
ただ、大根の場合は、食欲が増加する傾向もありますから、ダイエットに応用出来るかは未知数です。
甘草の働き
甘草は、非常に多くの漢方処方に配合されています。
その作用は、沢山ありますが、「伏火」の作用というものがあります。
伏火とは、例えば灰の中に火を埋めておくと、燃え尽きるまで長い時間がかかります。
これは酸素が少しずつしか供給されないため、一度に燃えあがらないからです。
もし空気中に火を置くと、大きなな炎となり、火はあっという間に燃え尽きてしまいます。
これと同じように甘草は、附子、乾姜の熱薬が一気に燃えるのでなく、少しずつ燃えるようにして火の力を永く続かせる働きがあると考えます。
甘草のこの作用を伏火といいます。
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