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脈の強さ
一番的には、脈が強いのは実で、弱いのは虚となります。
例えば、気虚は脈が弱く、血虚では脈は細くなります。
しかし、例外もあります。
例えば、肺気が不足すると、肺(金)は、肝(木)を抑える事が出来ず、肝木が暴れ出します。
このような場合は弦脈になる事が多いです。
この時、肝気を抑えるものに、肺金を補うものを使う必要があります。
よく使われるのが黄耆を含む製剤です。
柴胡と升麻
中医学的に見ると、体の右半身と左半身では違いがあります。
左は血にかかわりが深い部分で、上から心、肝、腎陰となります。
右は気と水にかかわりが深い部分で、上から肺、脾、腎陽(命門)となります。
左に心臓があるので、血にかかわる部分を左半身に納めたのでしょうか。
この為、肝は実際には右半身にあるのですが、中医学では左に配置されています。
「肝は体(実体)は右にあるけども、その用(働き)は左にある」と、なんだか屁理屈っぽい事を言っています。
気を上に持ち上げる作用のあるものに、柴胡と升麻があります。
柴胡は、少陽(胆)の気を左から持ち上げます。
升麻は、陽明(胃)の気を右から持ち上げます。
ですので、左側の気が上がらない場合は柴胡を右側の気が上がらない場合は升麻を使います。
しかし、実際には右左の区別はつきにくい事が多く、柴胡と升麻は併用される事が殆どです。
でも、柴胡と升麻にはこのような差があるんだよという事は知っておくと良いかも知れません。
悪循環
慢性の病気がなかなか治らないのは、一つには悪循環があります。
例えば、気の流れが悪い気滞がおこると、血の流れが悪くなります。
血の流れが悪いと、血の汚れ出来ます。
そして血の汚れは、ますます気に流れを悪くして悪循環になっていきます。
また、気の流れが悪く肝気が鬱すると、脾気虚をおこします。
脾気虚になると、肺気が弱り、ますます肝気が欝滞するという悪循環もあります。
不妊症の場合でいうと、なかなか妊娠しないというストレスや早く妊娠したいという焦る気持ちが
ホルモンや自律神経のバランスを悪くして、それでますます妊娠しにくくなるというケースもあります。
ですから、慢性の病気がなかなか治らない場合は、まず悪循環を断ち切る事から始める必要があります。
体と用
中医学では体と用という用語があります。
体は、目に見えるもの、つまりその実体です。
用はその働きです。
そして体と用は現代医学的には噛み合いません。
例えば
肝 解毒、代謝意外に、自律神経、目なども含みます。
心 血を流す意外にも、脳の働き
脾 脾臓の働きより、むしろ胃腸の消化吸収
肺 呼吸意外に、免疫
腎 尿を作る意外、全身のホルモン、骨、また脳
一つの臓の「用」は、色々な臓腑の「体」の上に成り立っています。
莪朮の働き
莪朮という植物の根っこがあります。
「中薬学 医歯薬出版社」によれば、莪朮の作用は
1.気滞血瘀による腹腔内腫瘤、無月経、月経痛あるいは産後瘀阻の腹痛に三稜、川きゅうなどと用いる
2.飲食停滞による胸腹部の痞え、腹張、腹満、悪心、嘔吐などに三稜、青皮、麦芽などと用いる
となっています。
つまり、気と血の流れを良くする作用と、つまったものを流す作用があると言えます。
ただ、不思議な事に莪朮は、日本では胃の薬、または健康食品として販売されています。
これは恐らく、昔からの胃の薬として恵命我神散というのがあり、それの主成分が莪朮だったからと思われます。
中国の中医師が莪朮を胃腸薬として使うというととてもびっくりされます。
莪朮には補気や補血などの補う作用はありません。
ですから、本当の胃弱には効果がありません。
ただ、食滞などの荷物を軽くしてあげる事で機能が回復しやすくなる事はあります。
ピロリ菌と不妊症
最近、不妊症の原因の一つとして注目されているのがピロリ菌。
ピロリ菌をやっつけるための抗体が精子もやっつけてしまうのです。
ある論文によれば、女性がピロリに感染すると、頸管粘液が精子の運動性を阻害してフーナーテストが悪くなる。
抗ピロリ抗体の影響で受精障害を起こしやすい
また男性でも精子運動率が低く精子形態異常が多くなる
などが指摘されています。
大人のニキビ
大人のニキビはなかなか治りにくいものです。
中医学的な原因として次のようなものが考えられます。
気の流れが悪い
ストレスなどで自律神経のバランスが悪くなり、さらにホルモンのバランスが悪くなっている状態です。
生理不順になりやすく、生理前に悪化します。
血の汚れがある
気の流れが悪い状態が長く続くと、血の流れも悪くなり、血の汚れが出来ます。
血の汚れはさらに気の流れを悪くします。
血の汚れが出来る原因としては、胃腸の汚れも関係します。
また生理中に激しい運動をしたり、冷やしたりする事も原因になります。
この場合のニキビの色は、赤味だけでなく、少し黒みがあります。
瘀血が骨盤内にあると、冷えのぼせがおこります。
これは骨盤の血流が悪くなるため、足に充分に血液が行かなくなります。
その分、あまった血液が上半身に流れ、のぼせがおこります。
顔は脂肌で、足が冷える状態で生理痛がある場合はこの状態の事が多くなります。
胃腸の汚れがある場合
胃腸に汚れがあると、舌の苔が厚くなります。
また時に口臭が気になる事もあります。
食事の不摂生が原因です。
また食事の時に冷たいものをとりすぎても胃腸の消化力は悪くなります。
痰湿がある場合
痰湿とは、汚れた水、脂、繊維などです。
痰湿のニキビは、芯があり硬くてコリコリしています。
多嚢胞性卵巣などの場合によく見られます。
肺熱がある場合
大人のニキビにはあまりこの大部は多くありません。
あつがりで喉がかわき、冷たい水分を沢山とりたくなるタイプです。
ニキビと同時に蓄膿症もあったりします。
陰虚や血虚がある場合
血の不足や潤い不足の場合です。
ニキビと同時に肌は乾燥しやすくなります。
一口に大人のニキビといっても、原因はさまさまです。
さらに原因だけでなく、その人の体質も考えて漢方薬を選ぶ必要があります。
いろいろな火
体の中には色々な火があります。
体にとって必要な火もあれば、体に害をなす火もあります。
体に必要な火は、相火と君火に分かれます。
君火は、心の火で、体の中では一番協力で強い火です。
心臓の鼓動のエネルギーになっている他、胃に働き消化を助ける火になっています。
相火は、心以外の臓腑にある火で、どの臓腑にもあります。
ただ、腎の中の火は、真火といい、相火の中でも特に重要視します。
それは、真火は先天の火で、父母からうけついだ火だからです。
腎の火ですから、生殖とも深い関わりがあります。
火は、少しずつ燃えるのが良いとされています。
中医学では「壮火食気、少火正気」という言葉があります。
火が燃えすぎると気を消耗してしまいます。
ちょうど良い強さの火は、気を生み出します。
血肉有情
中医学をやっていると、時々、「血肉有情」という言葉を聞きます。
血肉有情とは、簡単に言えば動物生薬の意味です。
動物生薬にも、補うものと、体を綺麗にするものがありますが、血肉有情という言葉は補う場合によく使われます。
その代表が鹿茸です。
それ以外には、海馬とか、紫河車などがあります。
こういった動物生薬は、腎精を補う作用がとても良いものです。
腎精は、先天の精とも言われ、人は生まれつき持っているものです。
そして年令とともに少しずつ消耗していきます。
中医学は、腎精が少なくなる事が老化の意味とほぼ同じです。
つまり腎精は命のろうそくのようなもの。
ですから、腎精を補うというのは、簡単には行かない事です。
手当たり次第に血肉有情の動物生薬を飲めば寿命が延びるという訳にもいきません。
腎精は寿命以外に妊娠や生殖とかかわってきます。
ですから、不妊症の場合は血肉有情のものはよく使われます。
ただ、原料が高いので、価格も高いのが残念です。
生薬の不思議
中医学には、すこし屁理屈っぽい理論があります。
たとえば、胡桃(くるみ)
くるみの形は、腎臓に似ています。
ですので、腎を補う働きがあります。
また、脳にも似ています。
ですから健脳の働きがあります。
なんとなくうさんくさいですが、中医学的にはそのように考えられています。
また、紅花やサフラン、玖瑰花、月季花など赤い色の花はたいてい血を綺麗にする働きがあります。
とても不思議ですが、実際に効果があります。
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