深谷薬局 養心堂

漢方薬局 深谷薬局養心堂

タイトル一覧

 

中医学の火とは

中医学の概念の中で、気とともに分かり難いのが火。
壮火と少火。壮火はもえ盛る炎で体にとってはよろしくない。
少火は少しずつ燃える火で、体のエネルギー源。
そこで、「壮火は気を消耗し、少火は気を生み出す」という理論があります。
これ以外にも君火、相火、龍雷の火、陰火などがあります。
君火とは、心の火です。
これに対して相火とは腎の火です。
中医の理論では、五臓の中で一番偉いのが「心」です。
なにしろ心には「神」が住んでいます。
だから心は君子の臓、心火は君火なのです。
腎の火は命の蝋燭。
ミトコンドリアのようなものでしょう。
とても大切ですが、心火にはかなわない。
だから相火と言います。

不眠

春先、花粉症とともに多いのが不眠症です。
不眠症は春と秋に多くなります。
春と秋は中医学では陰陽交代の時期と考えます。
春は陰が減り陽気が盛んになります。
陽気は覚醒作用があるので寝付きが悪くなります。
秋は夏に盛んになった陽気がなかなか収まらないと不眠になります。
寝る直前の入浴は陽気を助けるので良くありません。
青色の光も興奮作用があります。
寝る前にパソコンやスマホをやるのはよくありません。
寝る前は黄色やオレンジの光が良いでしょう。

五行について

中医学では肝は木に例えます。
真っ直ぐ太陽に向かって伸びていきます。
しかし、折れないように弾力があります。
心は火に例えます。エネルギーがあります。
脾は土です。万物を育む母なる大地です。
肺は金。熱に弱い、叩くと音が出るなどです。
腎は水。これは解りやすいですね。
木が燃えて火がおこります。
火が燃え尽き土になります。
土の中から金属が見つかります。
金属のまわりに水滴がつきます。
この関係を相生関係といい、先程の五臓にあてはめます。
例えば、肝は心の母で、心を助けます。
同様に心は脾、脾は肺、肺は腎を助けます。
木は土を抑えています。
土は水を制します。
水は火を消します。
火は金を溶かします。
金は木を倒します。
これを相克といい、力が強くなりすぎないように制御しています。
肝は脾をコントロールし、脾は腎を、腎は心を、心は肺、肺は肝を制御して、バランスを保っています。
臓と腑では、
肝と胆
心と小腸
脾と胃
肺と大腸
腎と膀胱
が表裏の関係になっています。
肺は免疫と関係してます。
大腸も免疫と関係しています。
小腸も心も第2の脳というくらい精神的な影響をうけます。
脾は気を持ち上げ、胃は気を降ろします。
膀胱の開閉を腎がコントロールします。
肝が強くなりすぎた時、肝を抑えるのですが、肝の性質は伸びやかなのが良いのであまり抑えすぎない方が良いです。
こんな時、心火をおさえます。
そうすると肺が強くなり、肺が肝を抑えてくれます。
その処方が左金丸です。
左は佐で、補佐の意味で、心火を抑えて肺を助けるという意味です

リラックスのツボ

ストレスに良いツボを2つ紹介します。
一つは内関。
手のひらを上に向けて、手首のまん中に薬指の先があたるようにします。
その時、人差し指の先あたりに押して痛い場所があります。
そこが内関です。
イライラした時などにマッサージして下さい。
もう一つは大衝です。
肝気の流れをよくしてくれます。
足の甲で、親指に向かう骨と人差し指に向かう骨が合流している場所の少し前の凹みです。
こちらもイライラする時とかにぜひ試して見て下さい。

舌苔について

舌の表面にある苔を舌苔と言います。
中医学的にはかなり診断の意味があります。
まず、厚さです。
苔が厚ければ厚いほど、汚れ(邪気)が多いと考えます。
反対に苔が全くないのも良くありません。
体に必要なものが足りないと考えます。
苔の色も大切です。
苔の色が白い時は、体が冷えていたり、体を冷やす邪気があると考えます。
苔の色が黄色い時は、体に熱がこもっていたり、湿熱などの邪気があると考えます。
舌が乾いている場合は、熱が、舌がしめつっている場合は冷えている事が多いです。
ただし、舌だけですべてが解るわけではありません。
舌以外の情報とあわせて弁証論治していく事が大切です。

一貫堂医学

日本式の漢方の変わり種として一貫堂医学があります。
人間の体質を3つに分けて治療します。
 臟毒証体質
  内蔵、特に胃腸に毒素がたまりやすい体質。
  太りやすく、生活習慣病になりやすい体質です。
  よく使うのが防風通聖散です。
 解毒証体質
  腺病質に近い体質です。
  リンパの流れに異常が出やすいです。
  リンパは中医学では三焦なので肝との関係が深いです。
  くすぐったがり、肌の色が浅黒い、扁桃腺が腫れやすい、アレルギーになりやすい体質です。
  柴胡清肝湯、荊芥連翹湯、竜胆瀉肝湯などを用います。
 瘀血証
  中医学の瘀血とほぼ同じです。
  一貫堂医学では通導散をよく使っています。

漢方の考え方

よく相談で、「血圧が高いから血圧を下げる漢方が欲しい」とか「飲むだけで痩せる漢方が欲しい」とか「血糖値を下げる漢方が欲しい」「多嚢胞性卵巣に効く漢方が欲しい」と言われる事があります。
ただ、これらはみな何かの原因があって、その結果なのです。
原因を考えないで結果だけを改善する事は出来ません。
中医学では、何故血圧が上がったのかを考えて、それに対して適切な方法を考えていきます。
そうすれば結果は自然に改善されていきます。

脾の働き

脾臓というと、西洋医学では何をしているか良く解らない臓器。
古くなった血液を分解しているくらいの認識です。
貧血などの場合は、脾臓を摘出してしまう事もあります。
それでも命にはかかわらないので、ちょっと大切にされないかも知れません。
中医学では脾は本当に大切な臓器です。
食べたものを消化する働きと考えます。
胃腸は中医学では、食べたものをただ受け取るだけのものです。
それを分解して、体に運ぶのが脾の働きです。
脾は体の中央に位置して、体を養っています。
脾の色は黄色。位置は中央。
黄色というのは、中国では1番高貴な色です。
皇帝は中国では黄帝と言って、いつも黄色い着物を着ています。
また中央に陣取って大地の母の土の性質を持っています。
生成数では、先天の生数に脾の5を足して後天の成数となります。

魂魄

中医学では、人間の能力を次のように定義しています。
魂は陽に属します。
人間の知力の意味です。
魄は人間の本能的な運動や感覚です。
意は初歩の認識
志は経験の積み重ね。やり方。
思はくりかえし考える
慮は経験から未来を予測する
智は上記の過程をふまえ正しく事物を処理する事

霊枢という古い漢方の本の中に夢に関する記載があります。
「邪気が心にあると丘や山の煙や火の夢をみる。
 邪気が肺にあると空を飛び、おかしな金物の夢を見る
 邪気が肝にあると山林や樹木の夢をみる。
 邪気が脾にあると丘陵や大きな沢の夢をみたり、壊れた家や風雨の夢をみる。
 邪気が腎にあると淵に佇む夢をみたり、水中で暮らす夢をみる。」
とあります。
これは五行の理論と関係があります。
五行の理論では、
心は火
肺は金
肝は木
脾は土
腎は水
となっているからです。

次のページ


 トップページに戻る