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脈でいろいろ解ります

昔、検査器機がない頃は、脈は重要な診断材料でした。
慣れると脈でかなりの事が解ります。
例えば、高温期になると脈は滑になり、妊娠するともっと滑になります。
滑は流れが良い脈です。
痛みがあると脈はひきつったようになり、沈んできます。
風邪の時は大きくなり、時に浮き上がってきます。
不眠の方は脈が長くなっている事が多いです。
勿論、脈だけで判断する事は出来ません。
症状やら舌やら、総合的に判断する事が大切です。

季節と脈

季節によって脈は変化します。
冬の脈は深く潜った脈で、これを沈脈といいます。
一般的には細くて硬い脈になる事が多いです。
春になると脈は少しずつ表に出てきます。
その時に、すこし突っ張った感じの脈になる事があります。
これを弦脈と言い、春の代表的な脈です。
夏になると、脈はもっと表面に浮いてきます。
そして、太く大きくなります。
この脈を、洪脈といいます。
陽気の多い脈です。
秋になると、脈は少しずつ弱くなります。
ただ、まだ寒い分けではないので、脈は体表にあります。
ですので、浮の状態のままです。
脈は季節に応じて変化するのが良いとされています。
人間も動物なので、季節に順応する事が大切なのでしょう。

五行の理論で

中医学の五行の理論を応用して、生活に取り入れられると良いかなと思います。
ストレスがたまると気の流れが悪くて肝気が鬱結してイライラしてきます。
五行の理論では肝を抑えるのは肺なので、肺を鍛えます。
肺は白い色が好きなので、白い服を来たり、白い色の食べ物をたべます。
大根、白キクラゲなどが良いように思います。
胃腸が弱る場合。
胃腸は中医学では脾です。
脾の色は黄色。
ですから黄色い服を着たりすると良いです。
さらに脾の母は心です。
母は子を養うので、心を丈夫にすると良いです。
心の色は赤なので、赤い服も良いでしょう。
食べ物はニンジンカレーなんかどうでしょうか?

銀翹解毒散

同じ風邪でも、身体があつく、熱っぽい感じ、身体を冷やしたい時などは銀翹散を使います。
銀翹散に清熱作用のよい羚羊角を加えたものが「銀翹解毒散」です。
「涼快楽」「天津感冒片」も同じ成分です。
とりあえず風邪薬としは葛根湯と銀翹解毒散を常備しておくと良いでしょう。
寒気が強い場合は葛根湯、熱っぽい感じが強い場合は銀翹解毒散という使い分けで良いと思います。

葛根湯の仲間達

葛根湯と同じように、身体を温め、発汗作用があるものとしては麻黄湯、小青竜湯があります。
違いは次のようになります。
 葛根湯 肩や首、背中の筋肉が硬くなっている
 麻黄湯 咳がある 患者が肺気を閉塞している
 小青竜湯 鼻水やサラサラの痰がある ます。

葛根湯

葛根湯は誰でも知っているとても有名な漢方薬です。
使い方のポイントとしては、寒気があるという事が大切です。
風邪でも熱っぽくて、汗が出て、クーラーにあたりたい感じの時は使わない事です。
使ってしまうともっと悪くなります。
葛根湯は、身体を温める作用と発汗作用があります。
その作用によって、体表の寒邪を発散させる作戦のものだからです。
また成分の麻黄はカフェインに似た興奮作用があります。
ですので、寝る前に飲むと眠れなくなったり、飲み過ぎるとドキドキしたりする事もあります。

蕁麻疹と排卵障害

排卵障害の方で、1年以上生理がなく、病院で排卵誘発の注射をしても排卵しない方でした。
ホルモン値から多嚢胞性卵巣症候群や卵巣早衰という状態ではなく、原因不明の様子です。
蕁麻疹もひどく、今は蕁麻疹がつらいとの事でした。
漢方では身体は一つのつながったものと考えます。
ですから、一つの病気を治すと別な病気が自然に治ってしまう事があります。
今回は排卵の事は考えず、蕁麻疹の漢方を使いました。
2ヶ月服用で、蕁麻疹は少し改善した程度でしたが、自然に生理が来ました。
基礎体温も高温期があり、排卵した様子です。
西洋医学的には説明が難しいのですが、体内に何らかの抗体が出来てしまいそれがホルモン系のバランスを悪くしていると言うような事があるのかも知れません。
私の考えでは蕁麻疹などは「宿風」という状態で風邪が体内に止まっている状態です。
この風邪は蕁麻疹という形になる事もありますが、他の状態を引き起こす事もあります。
今回はこの風邪を取り除く方法で良い効果が出たのではと思います。
状態や体質にあったものを使う事が大切です。類があります。
その人、その人の体質や状態によって選んでいく事が大切です。

子宮筋腫と漢方

子宮筋腫は、中医学では痰瘀互結と考えます。
痰は痰湿の意味で、汚れた水、脂、繊維などです。
瘀は瘀血の意味で、汚れた血液です。
それらが入り交じって固まったものが子宮筋腫です。
ですので、瘀血や痰湿を綺麗にする漢方をまず選びます。
たた瘀血といっても、血管の中の血液の汚れではありません。
血管の外で固まった血です。
これを中医学では陳旧瘀血と言います。
陳旧瘀血には、普通に血液をサラサラにするものでは効果が弱く、陳旧瘀血を溶かすものを使います。
この場合、植物性の生薬では難しく、動物性の生薬をよく使います。
次に痰湿互結になった原因を考えます。
次のケースが良くみられます。
 気虚 エネルギー不足です。免疫機能の低下なども含みます。
 寒凝 冷えなどが原因で、血流が悪くなっている状態です。
 気滞 ストレスや自律神経失調などでホルモンのバランスが悪い状態です
 湿熱 炎症などがあり、筋腫を刺激している状態です。
これらの原因もあわせて漢方を使っていくと良いでしょう。
子宮筋腫の時に良くみられる症状としては、生理の量が多い、生理痛があります。
生理の量があまりに多い場合は、生理の時だけ収斂の作用のものを使います。
ただ収斂のものは邪気を留めやすいので、必要に応じて使う事が大切です。
生理痛は気滞や瘀血、寒凝、湿熱が原因になっています。
それぞれの場合でも使うものが違います。
状態や体質にあったものを使う事が大切です。類があります。
その人、その人の体質や状態によって選んでいく事が大切です。

子宮内膜症と漢方

子宮内膜症は、子宮の内膜と同じような組織が腹腔内に散らばっている状態です。
経血が卵管から逆流するとも言われていますが、肺などに見られ気胸をおこす場合もあり、原因は不明です。
中医学的には陳旧瘀血と考えます。
陳旧瘀血は、古くなって固まった血です。
通常の瘀血は血管の中の血液の状態を言う事が多いですが、陳旧瘀血は血管の外で固まった血です。
ですから、まず陳旧瘀血を溶かすものが必要です。
次には陳旧瘀血が出来る原因を考えます。
「気滞」による場合
 気とは目に見えなくて働きがあるもので、ホルモン、自律神経、免疫などです。
 これらのバランスが悪い状態を気滞と言います。
 気滞の状態が長く続くと血の流れも悪くなります。
 気は血を運んでいるからです。
 また気は血液が血管から漏れ出すのを押さえてもいます。
「寒凝」による場合
 冷えると血流は悪くなり、さらに冷えると固まっていきます。
 この状態を寒凝といいます。
「湿熱」による場合
 クラミジアなど、感染を起こした場合、湿熱という状態になる事が多いです。
 感染を起こしている時は清熱解毒という方法を使います。
「痰湿」による場合
 湿熱の状態で炎症がおさまると、繊維の汚れが残ります。
 また脂、水の汚れも含めて痰湿といいます。
 陳旧瘀血と痰湿が入り交じって、痰淤互結と言う状態になると、なかなか取れにくくなります。
 陳旧瘀血を溶かすもの以外に痰湿をとるものが必要になります。
陳旧瘀血をとるもの、気滞、寒凝、湿熱、痰湿の改善にも色々な種類があります。
その人、その人の体質や状態によって選んでいく事が大切です。

母乳不足の漢方

母乳が出ないので何か良い漢方は無いかとよく相談されます。
母乳が出ない場合は、2つのケースがあります。
1.乳房が張らない
 この場合は、母乳の材料になるものが不足していると考えます。
 母乳は白い血液とも言われています。
 ですので、まず血液が必要です。
 中医学では血虚と言って、血を補う漢方を使います。
 母乳は液体です。
 栄養のある液体を津液(しんえき)と言います。
 ですから、血を補うと同時に津液を補う事も必要です。
 乳房は、経絡的には胃経に属します。
 胃から吸収されたものは通常は脾に運ばれます。
 しかし授乳中は脾に運ばれると同時に胃経を通じて母乳になると考えます。
 ですから、この経絡を確保する事も大切です。
2.乳房が張る場合
 この場合は母乳は作られるけどもうまく出て来ないという事があります。
 中医学的には邪実によるもので、気の流れが悪いか、痰湿が多い、寒邪が停滞しているなどが考えられます。
 どの邪気が原因か判断して、利気、化痰、温経散寒などの方法を使います。

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