目次形式に切り替える74.気虚の人の食事
エネルギーが足りない人の事を中医学では気虚と言います。
気虚の人にお勧めの食事がヤマイモと鶏の胸肉です。
どちらもエネルギーたっぷりの食材です。
気虚の人は胃腸が弱い人が多いので、あまり脂っこいものはお勧めではありません。
食事の時も、胃腸をひやさないようにする事が大切です。
また食事の時に水分を取りすぎると胃酸や消化酵素の働かが悪くなります。
水分は食事とは別な時間に補給するのがお勧めです。
73.アスピリンの中医学的な薬理
ちょっと古い文献ですが、中医雑誌の2014年に、アスピリンの中医学的な薬理を研究した論文が掲載されています。
150人の患者さんにアスピリンを使って、どのような中医学的な症状が改善したか調べました。
結果として、
1.アスピリンは熱証の改善が寒証の改善よりも良い アスピリンの薬性は寒涼
2.熱実と虚熱での差はない アスピリンは虚証にも実証のも使える
3.陰虚と陽虚とで比べると陰虚の人に効果がある
4.心の症状の改善に効果が良い 帰経は心
5.胆の症状にも効果が良い 帰経は心と胆
6.瘀血に対する効果が良い 活血化瘀
7.それ以外にも気滞 気虚 気陥にも効果がある
8.胃腸に対する作用はなく、胃腸の症状は悪化する場合もある
という事が解りました。
基本的には、予想通りでしたが、アスピリン以外でも調べてみると面白いと思います。
72.下痢の漢方
下痢の場合、漢方は比較的良く効きますが、使い方が大切です。
1.細菌やウイルスによるもの
いわゆる胃腸風邪とかノロウイルスです。
この場合、1番良く使うのがかっ香正気散です。
これだけで対処できない場合はこれに黄連解毒湯、半夏瀉心湯、人参湯などを併用します。
注意するのは、無理矢理に下痢を止めない事です。
2.腸の蠕動運動によるもの
中医学的には気の流れの問題です。
ストレスと関係します。
お腹の脹りが強い場合は開気丸をよく使います。
そうでない場合は、桂枝加芍薬湯を使います。
また腸の中の水分が多い場合は一時時に五苓散も有効です。
3.食滞によるもの
胃腸の消化能力を超えて飲食した場合です。
中国では保和丸をよくつかいますが、晶三仙でも良いです。
4.脾虚によるもの
体質的に胃腸がよわく、慢性的な下痢の場合です。
健脾散顆粒をよく使います。
5.湿熱によるもの
腸の中に湿熱という汚れがたまっている場合です。
便が出てもすっきりしない事が多いです。
この場合は、漢方は慎重に選ぶ必要があります。
6.冷えによるもの
一時的にお腹を冷やしておこる下痢です。
人参湯などをよく使います。
71.イライラ
イライラの原因は体内で「火」が強くなりすぎている状態と考えます。
主に、心火と肝火があります。
心火は不眠、動悸などを伴います。
そうでない場合は肝火です。
肝は五行では「木」に属します。
生の木は潤いがあり燃えにくいですが、乾燥した木はすぐに燃えます。
ですから、肝火が強い人は木に潤いが無いと考えます。
そこで、肝火を消す作用の漢方だけでなく、肝に潤いを与えるものを使います。
そうしないと、一旦肝火が収まっても、すぐにまたさいねんします。
肝火を消すものとしては「瀉火利湿顆粒」
肝を潤すものとしては「双料杞菊顆粒」などがあります。
70.血が足りない状態
血が足りない状態を中医学では血虚(けっきょ)と言います。
血が足りないというと、すぐに思いつくのが貧血です。
確かに貧血も血が足りない状態の一つです。
ですが、それ以外にも血が足りない状態があります。
それは血の量の不足です。
貧血は採血して、血液の濃度を測ります。
血液の量は測りません。
これに対して、中医学の血虚は採血はしません。
脈、舌の色、爪の色、生理の色と量、髪の毛などで判断します。
最近では血流計という便利なものがあり、それで測定する事も出来ます。
病院で貧血がないと言われても、血の量が足りなければやはり貧血と同じように問題がおこります。
この点は注意する必要があるでしょう。
69.漢方を飲んでからの変化
漢方を飲み始めて変化があった場合それが漢方によるものなのか、たまたまなかの判断が難しいですね。
もしその変化が漢方を飲んだ時に多くの人に共通して起こる変化の場合は漢方が原因判断できます。
しかし、めったにないようなケースの場合は判断に困ります。
その場合、もし悪い変化の時は一旦漢方をお休みしてもらいます。
そして、結果的には漢方と関係が無い事が殆どです。
では、どうしてそのような事があるかというと、漢方に対する期待や不安が大きすぎるからだと思います。
期待が大きいと、ちっょとした良い変化も漢方のおかげと考えます。
不安が大きいと、些細な悪い変化も漢方のせいにします。
あまり一喜一憂しないで、少し長い目で変化を見てあげて下さいね。
68.漢方の味
体にあった漢方だと、意外と美味しく感じるという説があります。
確かに、野生の動物は、その味や臭いで体に必要かどうか判断しています。
しかし、私たちが食べているものは、殆ど味付けされていて、調味料漬けです。
自然の味などは分からなくなっています。
体によくないタバコなども美味しく感じる人もあります。
ですから、私たちのこの野生の感覚はあてにならなくなってしまいました。
始めは飲みにくい漢方も続けていると飲みやすくなる事はよくあります。
良薬口に苦し。
頑張りましょう。
67.巧婦難為無米之炊
漢方は大工さんです。
家を建てるのに大工さんは必要です。
でも大工さんだけで建築資材がないと家は建てられません。
建築資材は毎日の食事です。
腕の良い大工さんと、しっかりした建築資材があって初めて丈夫な家が出来ます。
中国の諺に「巧婦難為無米之炊」というのがあります。
どんなに聰明で仕事上手の奥さんでも、お米がなければご飯は炊けない。
あたりまの話です。
漢方は巧婦であって米ではありません。
66.漢方の副作用
漢方にも副作用はあると大きな声で言う人があります。
私はこれは正しくないと思います。
勿論、口に入るものですから、アレルギーのようなものはあります。
中医学は効き目を良くする工夫だけでなく、どのようにしたら副作用が出ないか、長い間研究されてきました。
その結果、体質や状態を判断て薬を使う、弁証論治という方法が考え出されました。
ですので、西洋医学の病名だけで薬を選んで弁証論治をしないと、体質にあわない事があります。
それを副作用と決めつけてしまうのは、なんとも漢方が可愛そうです。
65.抗内膜抗体
中国では、内膜がなかなか厚くならない場合によく調べられているのが抗内膜抗体というものです。
抗内膜抗体は、自分の内膜に対する抗体です。
この抗体があると、抗体が内膜を攻撃して炎症をおこします。
慢性的な炎症なので、慢性子宮内膜炎となります。
中国では抗内膜抗体の場合は、漢方薬で治す事が多いです。
漢方で治療して、抗体が無くなれば良いという事です。
残念ならが日本では調べられていません。
ただ、なかなか厚くならなかった内膜が漢方で厚くなる事はよくあります。
抗体の検査をしていないのではっきりは言えませんが、慢性炎症が治っている可能性もあります。
次のページ

トップページに戻る