目次形式に切り替える64.免疫のバランス
お母さんにとって、赤ちゃんや受精卵、精子は異物なので、これを排除してしまう可能性があります。
免疫が強すぎる場合です。
中医学的には、アレルギーや自己免疫と考えます。
不育症の検査では、いくつかの抗体を調べています。
ただし、抗体の種類は何億種類もあると言われています。
これらの抗体全部を調べるのはとても無理です。
それで代表的な抗体を調べます。
以前は抗核抗体が良くないと言われていました。
しかし、今は抗核抗体はあまり重視していません。
このように、抗体にかかわる部分はまだ充分に解明されていません。
未知な部分に関しての治療は、漢方薬が適しています。
漢方の場合は抗体の種類を特定しなくても体質改善として治療することが出来るからです。
63.子宮の動き
子宮は普通のエコーで診ても動いているのは解りません。
一定の間隔で静止画をとり、それをつなげて動画にすると動きが解ります。
子宮は生理の時は、経血を出すため、上から下に動きます。
排卵の時は精子を送りこむ為、下から上にうごきます。
着床の時はあまり動かない方が良いです。
これらの状態がうまく行かなくなると妊娠率が下がると考えられます。
ただし、まだはっきりとしたデータがあるわけではありません。
これからの研究が待たれる所です。
62.卵管の汚れ
卵管が詰まっていると言われた方で、漢方を数ヶ月飲んでつまりがなくなっている事がよくあります。
よく使うのが、活血化瘀と理気化痰の漢方です。
この事から、血液の固まった汚れとか、繊維、脂の汚れが詰まっているのではないかと思います。
61.卵子の質と漢方
卵子の質が悪くなる原因が、純粋に老化だけなら漢方でも卵子の質を良くするのは難しいでしょう。
しかし、老化以外にも色々な原因で卵子の質は悪くなります。
これらの原因をとり除いて行けば、その分、卵子の質は良くなると考えられます。
では、何が卵子の質を悪くしているのでしょうか?
1.必要なものが足りない
気虚 陽虚 エネルギー不足です。最近注目されているミトコンドリアもこれに関係しています。
血虚 卵巣に行く血液が不足しているケース
陰虚 潤い不足です。卵胞液の質とも関係します。
2.汚れがたまっている
瘀血 血の汚れです。 古い血の汚れを陳久瘀血といいます。
特にチョコレート嚢胞は卵巣の機能低下の原因になります。
痰湿 汚れた水、脂、繊維などです。
最近問題になっているのが糖化です。 蛋白質と砂糖が結合するとなかなかとれなくなります。
これを糖化と言います。卵子も糖化すると考えられますから、要注意です。
3.バランスが悪い
ホルモンや自律神経などのバランスが悪くなっている
1-3に関しては、それぞれの原因や体質に応じた漢方薬で対応できるとかんがえます。
ただし、漢方以外にも食事の注意、睡眠、適度な運動なども一緒に考える必要があります。
60.胃腸の働き
中医学では胃腸の働きを「脾」と「胃」に分けて考えます。
胃は食べ物を受け取り、それを腸に送ります。
ですから、下におりる働きです。
この働きが悪くなると、食べ物が下におりなくなります。
胃が脹り、けっぷ、胸焼け、便秘などが起こります。
逆流性食道炎などもこのケースです。
脾は、食べ物を吸収して、栄養を上に運びます。
この働きが落ちると、栄養が下に流れ下痢したり、胃下垂になったりします。
気が上がらず、栄養不足でやせて来たり、力が入りません。
下に降ろす胃と、上に昇る脾は明確に区別します。
主に胃に働く漢方が晶三仙、平胃散、健胃顆粒などです。
そして脾に働くのが健脾散、補中益気湯などです。
脾と胃の働きの区別を知っておくと漢方の胃腸薬の使い分けが出来ます。
59.火鬱発之
中医学ではストレスが溜まった状態を「気滞 きたい」と言います。
つまり気の流れが悪い状態です。
気滞が続くとイライラしてきます。この状態が「火鬱」です。
つまって、化熱してくる訳です。
普通の熱は、清熱といって冷やす漢方を使います。
ただ、火鬱の場合は治療方法が違います。
「火鬱は之を発せよ」という理論で、香りの良いもので発散されます。
ハッカ、紫蘇、パクチー、ネギ、ニラ、バジルなどです。
ベルガモットなど柑橘系のアロマもお勧めです。
清熱薬を使うと、熱はとれても気の流れがもっと悪くなってしまう可能性があるからです。
58.漢方の風邪薬
葛根湯は風邪薬で有名ですが、どんな風邪でもよい訳ではありません。
1番大切なポイントは「寒気があるか?」です。
次ぎに大切なのが「節々の痛み」です。
この二つがあればまず葛根湯を使って見て下さい。
銀翹解毒散は、あまり有名ではありませんが葛根湯よりも使う機会は多いです。
何となく熱っぽくて、寒気す少し、喉が痛かったり、喉が渇く感じがあります。
このまうな場合はまず銀翹解毒散を使って見て下さい。
胃腸風邪の場合は勝湿顆粒をまず使います。
吐き気、下痢、少し寒気やだるさを伴います。
この3つは常備薬としておいておくと良いでしょう。
57.中医学の火とは
中医学の概念の中で、気とともに分かり難いのが火。
壮火と少火。壮火はもえ盛る炎で体にとってはよろしくない。
少火は少しずつ燃える火で、体のエネルギー源。
そこで、「壮火は気を消耗し、少火は気を生み出す」という理論があります。
これ以外にも君火、相火、龍雷の火、陰火などがあります。
君火とは、心の火です。
これに対して相火とは腎の火です。
中医の理論では、五臓の中で一番偉いのが「心」です。
なにしろ心には「神」が住んでいます。
だから心は君子の臓、心火は君火なのです。
腎の火は命の蝋燭。
ミトコンドリアのようなものでしょう。
とても大切ですが、心火にはかなわない。
だから相火と言います。
56.不眠
春先、花粉症とともに多いのが不眠症です。
不眠症は春と秋に多くなります。
春と秋は中医学では陰陽交代の時期と考えます。
春は陰が減り陽気が盛んになります。
陽気は覚醒作用があるので寝付きが悪くなります。
秋は夏に盛んになった陽気がなかなか収まらないと不眠になります。
寝る直前の入浴は陽気を助けるので良くありません。
青色の光も興奮作用があります。
寝る前にパソコンやスマホをやるのはよくありません。
寝る前は黄色やオレンジの光が良いでしょう。
55.五行について
中医学では肝は木に例えます。
真っ直ぐ太陽に向かって伸びていきます。
しかし、折れないように弾力があります。
心は火に例えます。エネルギーがあります。
脾は土です。万物を育む母なる大地です。
肺は金。熱に弱い、叩くと音が出るなどです。
腎は水。これは解りやすいですね。
木が燃えて火がおこります。
火が燃え尽き土になります。
土の中から金属が見つかります。
金属のまわりに水滴がつきます。
この関係を相生関係といい、先程の五臓にあてはめます。
例えば、肝は心の母で、心を助けます。
同様に心は脾、脾は肺、肺は腎を助けます。
木は土を抑えています。
土は水を制します。
水は火を消します。
火は金を溶かします。
金は木を倒します。
これを相克といい、力が強くなりすぎないように制御しています。
肝は脾をコントロールし、脾は腎を、腎は心を、心は肺、肺は肝を制御して、バランスを保っています。
臓と腑では、
肝と胆
心と小腸
脾と胃
肺と大腸
腎と膀胱
が表裏の関係になっています。
肺は免疫と関係してます。
大腸も免疫と関係しています。
小腸も心も第2の脳というくらい精神的な影響をうけます。
脾は気を持ち上げ、胃は気を降ろします。
膀胱の開閉を腎がコントロールします。
肝が強くなりすぎた時、肝を抑えるのですが、肝の性質は伸びやかなのが良いのであまり抑えすぎない方が良いです。
こんな時、心火をおさえます。
そうすると肺が強くなり、肺が肝を抑えてくれます。
その処方が左金丸です。
左は佐で、補佐の意味で、心火を抑えて肺を助けるという意味です
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