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気滞血瘀 きたいけつお
これから少し、中医学の弁証についてお話します。
弁証とは、要するにタイプ別の分類になります。
中医学では病名だけでお薬を処方する事は出来ません。
かならず弁証が必要になります。
弁証されるタイプを「証」といいます。
この証はいくつぐらいあるかというと、200位あります。
あまりにも多いので全部は説明しきれません。
いくつか代表的な証をご紹介していきます。
気滞とは気の流れが悪い状態です。
気とは目に見えなくて働きがあるもの。ホルモンとか自律神経、免疫などです。
これらのバランスが悪い状態を気滞と言います。
気はホルモン、自律神経、免疫など非常に広範囲なので気滞もとても広範囲です。
病は気からというのは、ストレスなどで気の流れが悪くなると、またそれが原因となり別な病気が起こるという意味です。
気は血の帥(すい)と言う言葉があり、気の流れが悪くなると血の流れが悪くなります。
血は自分一人で流れる事ができず、必ず気の助けが必要だからです。
こうして気と血の流れが悪くなると気滞血瘀という証になります。
気滞血瘀の改善には活血化瘀という方法が用いられます。
代表的な方剤としては冠元顆粒、血腑逐瘀湯などがあります。
ダイエットと多嚢胞性卵巣
典型的な多嚢胞性卵巣は、太り気味の人に多く、糖代謝や脂肪の代謝異常があります。
にきび、多毛などを特徴としています。
ところが当店で多嚢胞性卵巣の相談の方の8割くらいは太っていません。
むしろ痩せ気味の人が多いです。
どうしてやせている人で多嚢胞性卵巣になるのかはよく解っていません。
ダイエットなどで極端に体重をおとして生理が来なくなる事があります。
その場合、病院に行くと多嚢胞性卵巣と診断される事がよくあります。
どうしてそうなってしまうのでしょうか?
可能性としてはいくつか考えられます。
1.排卵しないため、卵巣の周りに汚れがたまりやすい。
2.皮下脂肪が少なくなり、女性ホルモンが減り、男性ホルモンが増える。
3.極端なダイエットで代謝異常がおきている。
などです。
ただし、今のところはっきりした理由は解っていません。
やはり思春期に極端なダイエットをするのはお勧めではありません。
多嚢胞性卵巣と糖化
多嚢胞性卵巣の一部の方には糖代謝の異常がある場合があり、インスリン抵抗性が高くなります。
このようなケースでは、卵子の糖化が進む可能性があり、食事に十分に注意する必要があります。
具体的には、糖質の制限ですが、糖質といのはデンプンも含みます。
ごはん、パン、麺類、イモ類、カボチャなどのデンプンは分解されて糖になります。
ですから、これらのものを減らす事は重要です。
ただし、糖質はエネルギー源です。
しかも燃えればカスがのこらないクリーンなエネルギーです。
ですから、糖質はとった分だけちゃんと燃焼される事が大切です。
一番簡単なのは、午後3時以降はなるべく糖質をとらない事です。
特に、夕食後や寝る前などにお菓子類を食べている方は要注意です。
ただし、多能性卵巣の方すべてでインスリン抵抗性が高いわけではありません。
本当はしっかり検査をすれば良いのですが、検査をされている所は少ないようです。
また逆に多嚢胞性卵巣でない方でもインスリン抵抗性が高い方もあります。
このような方は糖質制限をする事で卵子の質がよくなる可能性があります。
卵子の糖化について
卵子の老化は、卵子が酸化、つまり卵が錆びる事が原因と考えられてきました。
しかし、最近では糖化が原因ではないかと考えれるようになってきました。
最近、糖化の話はよく出てくるのでご存知の方も多いと思います。
タンパク質に糖がつくとAGEというものになり、茶色く変色していきます。
いったんAGEが出来てしまうとなかなか分解する事が出来ません。
赤血球を形成するヘモグロビンに糖がついて出来たAGEがヘモグロビンA1cというものです。
糖尿病の検査でよく使われるのです。
血液は3ヶ月くらいで生まれ変わるのでヘモグロビンA1cが出来てしまっても、赤血球事態が壊されて、
また新しい赤血球が出るので食生活を3ヶ月くらい改善していけば回復する事が出来ます。
ただし、体の中で生まれ変わらない細胞があります。
心筋とか、脳、そして卵子です。
こういった細胞のタンパク質に糖がくっついてしまうとなかなか厄介です。
卵子の場合でも一旦糖化してしまうと、それを戻すのは難しいでしょう。
卵子の糖化がどの段階で起こるのかはまだ解っていません。
ただ、インスリン抵抗性が卵子の質を劣化させ、インスリン抵抗性を改善すると卵子の質も良くなる事から、比較的排卵が近づいて来てから起こる糖化もあると考えられます。
日頃から血糖値に注意して、特に夜に澱粉、甘いものなどをとらないようにしていく事が大切と思います。
中医学では、糖のようなベタベタしたものを「痰湿」と呼んでいます。
痰湿は体の至る所にたまり、色々な病気を引き起こすと言われています。
漢方的に見た子宮と卵巣の違い
子宮も卵巣も妊娠には不可欠な臓器です。
ですが、漢方で治療する場合、少し考えが違います。
中医学では卵巣は腎の一部と考えます。
腎臓も腎ですが、中医学の腎はもう少し広い範囲を指します。
骨、頭髪、耳など老化にかかわる部分。
卵巣やホルモンなどは腎の受け持ちとなります。
ですから、卵巣を元気にする場合はやはり腎を中心に考える必要があります。
これに対して子宮は「血室」で、血の海と言えます。
ですから子宮を元気にするためには、まず血を増やす事が大切です。
また子宮は汚れがたまりやすい場所なので、うまく活血薬を使って血流を良くする事も大切です。
つまり、簡単に言えば
卵巣 腎の管理
子宮 血の管理
という方法になります。
卵胞と卵子
卵胞と卵子を混同されている方がかなりあります。
「エコーで見てもらって、直径が20ミリと言われました。」
この時の20mmは卵子ではなくて卵胞です。
卵子の直径は0.17mmくらいで、ぎりぎり目に見える大きさです。
さて、卵胞は大きくなる時にさかんに細胞分裂しています。
ですので、しっかりと栄養や血流を管理していくと良い卵胞が膨らんでくる可能性があります。
これに対して卵子はお母さんのお腹の中で作られて、細胞分裂はしていません。
ずっとー、何十年も眠っているのです。
では、いつ目が覚めるかというと、排卵の前の日くらいです。
排卵の前の日にはLHが上がります。
この刺激で卵が眠りから覚めて、減数分裂を再開します。
その時に、少しでも良い環境を整えておけば、眠りから覚めた卵子も元気に分裂していくはずです。
冷えと不妊
よく、冷えこそが不妊の原因という事で、ひたすら温めている方がいます。
夏でも靴下をかさねばきして、暑い中でフーフー言いながらカイロをお腹にあてています。
温めれさえすれば妊娠できるというのは大きな間違えです。
冷えにはいくつかの原因があります。
その原因を考えていく事が大切です。
1.ミトコンドリア活性がわるく、代謝が悪い場合
この場合は、漢方的には腎陽虚と考えます。
ただ温めるだけではミトコンドリアは活性化しません。
腎陽を補う漢方でしっかりと代謝を改善していく事が大切です。
2.血液の汚れが多いタイプ
血液の汚れが多い場合、手足の先だけが冷えます。
体全体が冷えるのではなく、一部分だけ冷える場合はこのタイプが多いようです。
血を綺麗にする漢方薬を使うと良いでしょう。
3.栄養のバランスが悪いタイプ
体に必要な酵素やピタミン、あるいはカロリー制限などでカロリー不足になっている場合。
この場合はやはりバランスよい食事をしていく事が大切です。
4.水の流れが悪いタイプ
体内の水はけが悪く、むくみやすいタイプです。
適度な運動をしていくとともに、水の流れをよくする漢方を使うと良いでしょう。
5.ストレスが多いタイプ
自律神経のバランスが悪くなると、血管が収縮して血流が悪くなります。
この時は手足は冷えますが、お腹の中では熱がこもります。
手足を温めるのは有効ですが、お腹を温めるのは逆効果になります。
リラックスして、良い音楽を効いたり、アロマなどをしましょう。
コーヒーのとりすぎに注意して、軽いストレッチなどを心がけます。
多嚢胞卵巣と糖化
多嚢胞性卵巣の一部の方には糖代謝の異常がある場合があり、インスリン抵抗性が高くなります。
このようなケースでは、卵子の糖化が進む可能性があり、食事に十分に注意する必要があります。
具体的には、糖質の制限ですが、糖質といのはデンプンも含みます。
ごはん、パン、麺類、イモ類、カボチャなどのデンプンは分解されて糖になります。
ですから、これらのものを減らす事は重要です。
ただし、糖質はエネルギー源です。
しかも燃えればカスがのこらないクリーンなエネルギーです。
ですから、糖質はとった分だけちゃんと燃焼される事が大切です。
一番簡単なのは、午後3時以降はなるべく糖質をとらない事です。
特に、夕食後や寝る前などにお菓子類を食べている方は要注意です。
ただし、多能性卵巣の方すべてでインスリン抵抗性が高いわけではありません。
本当はしっかり検査をすれば良いのですが、検査をされている所は少ないようです。
また逆に多嚢胞性卵巣でない方でもインスリン抵抗性が高い方もあります。
このような方は糖質制限をする事で卵子の質がよくなる可能性があります。
AMHについて
よくAMHが低いと言う方が相談に来られます。
AMHを卵巣の年令と考えると、それはかなり違います。
確かにAMHは年令とともに低下する傾向がありますから、年令とも関係している事は確かです。
ただし、年令よりも個人差が大きい数値です。
例えば30才くらいでも1以下の人も沢山ありますし、10くらいある人もあります。
では10の人は1の人の10倍も若いのでしょうか?
AMHは、卵巣の中にある原始卵胞の数を調べているのではありません。
3ヶ月後くらいに排卵する予定の卵胞の数を数えています。
例えば卵巣の中で沢山卵胞が膨らんでしまう多嚢胞性卵巣の方はAMHも高くなります。
多嚢胞性卵巣が改善してくるとAMHは下がってきます。
逆にAMHが低い人でも、原始卵胞が沢山膨らんでくればAMHは上がってきます。
卵胞が膨らむか膨らまないかは、ホルモンのバランスや体調などによっても違います。
また、AMHが高い人は沢山の卵胞が膨らんで来ていますが、最後に排卵するのは原則1個の卵胞なので、
沢山膨らむ事が妊娠に有利とは言えません。
ただし、採卵する場合は一度に沢山採卵できる可能性はあります。
禁欲と精子
卵子はお母さんのお腹の中にいる時に作られて、あとは作られません。
これに対して精子は思春期以降に作られ始めて毎日沢山作られていきます。
その事から考えると、卵子を良くするのは大変ですが、精子を良くするのは少なくとも卵子を良くするよりは簡単と言えます。
精子の不良の場合、精巣で精子を作る能力が不足している場合と、作る能力は問題ないけども、排出出来ない、あるいは壊れてしまうという場合があります。
精子を作る力が不足している場合は漢方的には腎虚と考えていく事が多いですが、そうでない場合は、色々な汚れが原因となっていると考えます。
血を綺麗にして血流を改善したり、湿熱をとりのどいたり、気滞を改善したりして行きます。
特に運動率や奇形率に問題がある場合、禁欲期間をあまり長く取り過ぎない事も大切です。
精子はとてもデリケートで壊れやすく、古い精子は染色体異常が多いからです。
では、何日くらいが良いかというと、明確な基準はありません。
新しければ新しいほど精子の染色体異常は少ないと考えられます。
そういう意味では毎日でも良いと言えます。
ただ、体力的な事や、仕事の忙しさなども考えると毎日は難しいですね。
同時に、奥さんの排卵が近づいて来たら、ご主人さんも体調管理をしっかりとする事が大切です。
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