目次形式に切り替える44.銀翹解毒散
同じ風邪でも、身体があつく、熱っぽい感じ、身体を冷やしたい時などは銀翹散を使います。
銀翹散に清熱作用のよい羚羊角を加えたものが「銀翹解毒散」です。
「涼快楽」「天津感冒片」も同じ成分です。
とりあえず風邪薬としは葛根湯と銀翹解毒散を常備しておくと良いでしょう。
寒気が強い場合は葛根湯、熱っぽい感じが強い場合は銀翹解毒散という使い分けで良いと思います。
43.葛根湯の仲間達
葛根湯と同じように、身体を温め、発汗作用があるものとしては麻黄湯、小青竜湯があります。
違いは次のようになります。
葛根湯 肩や首、背中の筋肉が硬くなっている
麻黄湯 咳がある 患者が肺気を閉塞している
小青竜湯 鼻水やサラサラの痰がある ます。
42.葛根湯
葛根湯は誰でも知っているとても有名な漢方薬です。
使い方のポイントとしては、寒気があるという事が大切です。
風邪でも熱っぽくて、汗が出て、クーラーにあたりたい感じの時は使わない事です。
使ってしまうともっと悪くなります。
葛根湯は、身体を温める作用と発汗作用があります。
その作用によって、体表の寒邪を発散させる作戦のものだからです。
また成分の麻黄はカフェインに似た興奮作用があります。
ですので、寝る前に飲むと眠れなくなったり、飲み過ぎるとドキドキしたりする事もあります。
41.蕁麻疹と排卵障害
排卵障害の方で、1年以上生理がなく、病院で排卵誘発の注射をしても排卵しない方でした。
ホルモン値から多嚢胞性卵巣症候群や卵巣早衰という状態ではなく、原因不明の様子です。
蕁麻疹もひどく、今は蕁麻疹がつらいとの事でした。
漢方では身体は一つのつながったものと考えます。
ですから、一つの病気を治すと別な病気が自然に治ってしまう事があります。
今回は排卵の事は考えず、蕁麻疹の漢方を使いました。
2ヶ月服用で、蕁麻疹は少し改善した程度でしたが、自然に生理が来ました。
基礎体温も高温期があり、排卵した様子です。
西洋医学的には説明が難しいのですが、体内に何らかの抗体が出来てしまいそれがホルモン系のバランスを悪くしていると言うような事があるのかも知れません。
私の考えでは蕁麻疹などは「宿風」という状態で風邪が体内に止まっている状態です。
この風邪は蕁麻疹という形になる事もありますが、他の状態を引き起こす事もあります。
今回はこの風邪を取り除く方法で良い効果が出たのではと思います。
状態や体質にあったものを使う事が大切です。類があります。
その人、その人の体質や状態によって選んでいく事が大切です。
40.子宮筋腫と漢方
子宮筋腫は、中医学では痰瘀互結と考えます。
痰は痰湿の意味で、汚れた水、脂、繊維などです。
瘀は瘀血の意味で、汚れた血液です。
それらが入り交じって固まったものが子宮筋腫です。
ですので、瘀血や痰湿を綺麗にする漢方をまず選びます。
たた瘀血といっても、血管の中の血液の汚れではありません。
血管の外で固まった血です。
これを中医学では陳旧瘀血と言います。
陳旧瘀血には、普通に血液をサラサラにするものでは効果が弱く、陳旧瘀血を溶かすものを使います。
この場合、植物性の生薬では難しく、動物性の生薬をよく使います。
次に痰湿互結になった原因を考えます。
次のケースが良くみられます。
気虚 エネルギー不足です。免疫機能の低下なども含みます。
寒凝 冷えなどが原因で、血流が悪くなっている状態です。
気滞 ストレスや自律神経失調などでホルモンのバランスが悪い状態です
湿熱 炎症などがあり、筋腫を刺激している状態です。
これらの原因もあわせて漢方を使っていくと良いでしょう。
子宮筋腫の時に良くみられる症状としては、生理の量が多い、生理痛があります。
生理の量があまりに多い場合は、生理の時だけ収斂の作用のものを使います。
ただ収斂のものは邪気を留めやすいので、必要に応じて使う事が大切です。
生理痛は気滞や瘀血、寒凝、湿熱が原因になっています。
それぞれの場合でも使うものが違います。
状態や体質にあったものを使う事が大切です。類があります。
その人、その人の体質や状態によって選んでいく事が大切です。
39.子宮内膜症と漢方
子宮内膜症は、子宮の内膜と同じような組織が腹腔内に散らばっている状態です。
経血が卵管から逆流するとも言われていますが、肺などに見られ気胸をおこす場合もあり、原因は不明です。
中医学的には陳旧瘀血と考えます。
陳旧瘀血は、古くなって固まった血です。
通常の瘀血は血管の中の血液の状態を言う事が多いですが、陳旧瘀血は血管の外で固まった血です。
ですから、まず陳旧瘀血を溶かすものが必要です。
次には陳旧瘀血が出来る原因を考えます。
「気滞」による場合
気とは目に見えなくて働きがあるもので、ホルモン、自律神経、免疫などです。
これらのバランスが悪い状態を気滞と言います。
気滞の状態が長く続くと血の流れも悪くなります。
気は血を運んでいるからです。
また気は血液が血管から漏れ出すのを押さえてもいます。
「寒凝」による場合
冷えると血流は悪くなり、さらに冷えると固まっていきます。
この状態を寒凝といいます。
「湿熱」による場合
クラミジアなど、感染を起こした場合、湿熱という状態になる事が多いです。
感染を起こしている時は清熱解毒という方法を使います。
「痰湿」による場合
湿熱の状態で炎症がおさまると、繊維の汚れが残ります。
また脂、水の汚れも含めて痰湿といいます。
陳旧瘀血と痰湿が入り交じって、痰淤互結と言う状態になると、なかなか取れにくくなります。
陳旧瘀血を溶かすもの以外に痰湿をとるものが必要になります。
陳旧瘀血をとるもの、気滞、寒凝、湿熱、痰湿の改善にも色々な種類があります。
その人、その人の体質や状態によって選んでいく事が大切です。
38.母乳不足の漢方
母乳が出ないので何か良い漢方は無いかとよく相談されます。
母乳が出ない場合は、2つのケースがあります。
1.乳房が張らない
この場合は、母乳の材料になるものが不足していると考えます。
母乳は白い血液とも言われています。
ですので、まず血液が必要です。
中医学では血虚と言って、血を補う漢方を使います。
母乳は液体です。
栄養のある液体を津液(しんえき)と言います。
ですから、血を補うと同時に津液を補う事も必要です。
乳房は、経絡的には胃経に属します。
胃から吸収されたものは通常は脾に運ばれます。
しかし授乳中は脾に運ばれると同時に胃経を通じて母乳になると考えます。
ですから、この経絡を確保する事も大切です。
2.乳房が張る場合
この場合は母乳は作られるけどもうまく出て来ないという事があります。
中医学的には邪実によるもので、気の流れが悪いか、痰湿が多い、寒邪が停滞しているなどが考えられます。
どの邪気が原因か判断して、利気、化痰、温経散寒などの方法を使います。
37.漢方の飲み合わせについて
漢方は西洋薬と違い、飲み合わせで駄目というものはありません。
ただ、気をつける部分もあります。
それは、バランスの問題です。
同じ方向性のものを組み合わせて作用を強める場合
いくつかの症状、状態があり、一つの処方では対応できない場合
ある漢方が必要だけども、身体にあわない部分があり、その部分を補正するため
などが考えられます。
同じ方向性の場合は、両方をそのままの量で飲むと効き目が出過ぎる場合があります。
この場合は飲む量を減らします。
ただ、症状がひどい場合は減らさないでそのままで飲む事もあります。
いくつかの症状がある場合、例えば肝腎陰虚で淤血がある場合は、杞菊地黄丸と冠元顆粒を組み合わせるなどの方法を用います。
杞菊地黄丸は肝腎陰虚によく使うもので、冠元顆粒は淤血に良いものです。
このような方法は非常に多く用いられます。
漢方にはいくつかの作用があります。
婦宝当帰膠は血を増やす作用がありますが、腸に潤いを与え便を柔らかくする働き、身体を温める働きがあります。
血が不足で、冷えがあり、便秘気味なら最適な処方です。
ただ、下痢気味でも婦宝当帰膠が必要な場合があります。
このような場合は、下痢の改善によい健脾顆粒と組み合わせると便の調子がよくなります。
いくつかの処方を飲むと、成分の生薬が重複する事があります。
上に述べたようなバランスを考えて使っていけば生薬が重複しても問題はありません。
ただし、大黄、麻黄、附子については量が多すぎると体調が悪くなる事もありますので、慎重にします。
希に甘草に敏感な方があります。
甘草は多くの漢方処方に含まれているので、重複しやすいものです。
甘草に敏感な人は、甘草をとりすぎると、むくみ、だるさ、血圧の上昇などがおこる事があります。
甘草は調味料として、醤油や味噌などにも使われています。
このような方は甘草の量を減らすような組み合わせにする必要があります。
肝胃不和と言う言い方でも良いでしょう。
36.ミトコンドリアと漢方
卵子の老化に関して、最近ミトコンドリアという言葉がよく聞かれるようになりました。
ミトコンドリアは細胞の中のエンジンにあたる部分です。
つまり細胞のエネルギーを作っている場所です。
通常の細胞には数百個ありますが、受精卵には数十万個から百万個もあると言われています。
つまり受精卵が分裂していくためには、沢山のエネルギーが必要だという事です。
もしそのエネルギーが不足すると、綺麗に分裂できず、フラグメントが増えたり染色体異常になる可能性があります。
ですから、ミトコンドリアを活性化する事が大切です。
ミトコンドリアは中医学的には肺と腎に相当します。
ミトコンドリアは、酸素と糖質などの燃焼を取り入れて、燃焼させ、エネルギーを作ります。
酸素を取り込むのは肺の働きです。
また燃焼させるのは腎の仕事です。
ですから、肺と腎を強化する漢方を使うとミトコンドリアの働きがよくなると考えられます。
肺と腎に良い漢方は沢山ありますから、その人の体質なども考えて選んでいく方法が良いでしょう。
ミトコンドリアは以外と怠け者です。
甘やかすとどんどんと働かなくなります。
ですので、あまり過保護にしないで少し鍛えてあげる事が大切です。
例えば、運動。
ミトコンドリアを鍛えるのに良い運動は、ゆっくりと速くを交互にくみいれた運動が良いでしょう。
例えばゆっくり歩いて、早歩き、これを繰り返す方法です。
次に食事。
これもたまにプチ断食とか、糖質制限を取り入れて、ミトコンドリアに危機感をもたせると良いでしょう。
ただし、あまり無理しないで下さい。
身体を温めすぎるのも逆効果です。
たまには薄着になって、運動して下さい。
ただし、風邪をひかないように充分注意してくださいね。
肝胃不和と言う言い方でも良いでしょう。
35.肝脾不和と肝胃不調
五行の理論では、肝は木に属し、脾と胃は土に属します。
木と土は相克関係にあり、木が土を剋する関係です。
つまり木が土をいじめるのです。
中医学では肝は気の流れをコントロールしています。
ストレスなどがつづくと、木は横逆して土をいじめます。
土というのは、脾と胃です。
脾も胃も胃腸の消化機能の事ですが、意味が違います。
胃というのは、食べたものを受けて、腸に運ぶ働きです。
つまり、お腹が膨れて食べられないとか、食べたものが下におりて行かない、もっとひどい場合は吐いてしまう。
このような場合は胃に問題があると考えます。
脾とは、食べたものを分解して吸収します。
脾で吸収したものは肺に運んでいきます。
この事から、消化不良、下利、栄養が吸収できないなどは脾の病気と考えます。
胃は栄養以外のものを下に降ろす、脾は栄養を持ち上げると考えても良いでしょう。
ストレスなどで食欲が無くなったり、胃が痛くなる事はよく経験します。
ストレスで気の流れが悪くなり、肝に問題が出ると、相克関係から脾や胃に問題が出ます。
このうち、脾に問題が出た場合を肝脾不和、胃に問題が出た場合は肝胃不調と言います。
不和と不調はどう違うのかと言うと、違いはありません。
漢文というのは言葉遊びの部分もあります。
肝胃不和と言う言い方でも良いでしょう。
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