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34.肝火上炎

肝陽上亢と間際らしいものとして肝火上炎があります。
肝陽上亢は、陰虚という必要なものが足りない状態を病機としています。
これに対して肝火上炎は火邪という邪気がある状態です。
症状は肝陽上亢に似ていますが、症状はもっと強くなり、イライラ、のぼせ、鼻血、耳鳴り、不眠などになってきます。
時に激しい目眩、頭痛なども伴い、血圧は高くなりやすいです。
肝陽上亢は慢性的な症状ですが、肝火上炎はそれよりは急性的な症状となります。
基本的には竜胆瀉肝湯を使いますが、時には黄連解毒湯などとも併用します。
また、肝火上炎が続くと陰液を消耗して肝腎陰虚を伴う場合もあります。
このような場合は杞菊地黄丸を併用します。。

33.肝陽上亢

肝腎陰虚の場合、陰と陽のバランスがわるくなり、陰が陽を制止できなくなります。
そのため少なからず熱症状が出てきます。
この熱症状がもっと強くなり、頭の方にのぼって来た場合を肝陽上亢と言います。
顔があかくなり、のぼせたり、目が赤くなったりします。
イライラしやすくなります。
ただ、肝陽上亢は肝腎陰虚が原因になっている場合が多いので、杞菊地黄丸で対処できます。
熱症状が強い場合は少し清熱剤を使いますがあまり使いすぎると逆に陰を消耗してしまいます。

32.肝腎陰虚の症状

腎陰虚の症状としては、腰痛、尿が出にくい、のぼせ、ほてり、耳鳴り、口渇、舌が赤い、脈が細い、皮膚や粘膜の乾燥などがあります。
肝の陰虚の症状しては、目のかわき、目のかすみ、イライラ、不眠、自律神経失調などがあります。
この2つが同時にあるものを肝腎陰虚と良い、代表的な方剤が杞菊地黄丸です。

31.肝腎陰虚

広義の陰は、身体を構成している物質的なもの、目に見えるものを言います。
つまり身体そのものは陰になります。
広義の陽は、目に見えないけども動いている、働きがある、温かいものです。
相対性理論で言う、エネルギーが陽、物質が陰となります。
狭義の陰は、水のようなもので、身体を潤すもの、陽を抑えるものです。
肝腎陰虚の場合の陰は主には狭義の陰をさします。
狭義の陰は潤いですから、五臓六腑すべてに関係します。
でもその中では腎との関係が一番深いと考えます。
何故なら腎は陰と陽をコントロールする臓器だからです。
腎の陰が不足すると、全身の陰が不足しますが、まず最初に影響を受けるのが肝です。
肝腎同源という言葉があるように、肝と腎の関係は密接です。
肝も「体は陰、用は陽」という言葉があるように陰と陽のバランスが大切な臓器です。
体とは肝の本体、物です。
用とはその機能、働きの意味です。
さて、腎陰虚、肝陰虚が同時にある場合、これを肝腎陰虚と言います。
純粋な腎陰虚、肝陰虚は少なくて肝腎陰虚の状態が多くみられます。

30.弁証論治と理法方薬

中医学の基本的な考え方として「弁証論治」と「理法方薬」があります。
どちらも診断と治療の進め方について述べたものです。
弁証論治は、弁証と論治に別れます。
弁証とは証を弁別する事です。
病気がある時、病気の種類だけでなく、体質とか今の状態などを判断して「証」を決めます。
証については、今、このブログで解説中ですが、実に色々な証があります。
同じ病気でも証が異なれば治療方法も異なります。これを同病異治といいます。
また、病気の種類が違っても証が同じなら、同じ治療方法を用います。
これを異病同治といいます。
論治は弁証で得た証によって、治療方法を決めていく事です。
理法方薬は、治療の4つのステップを意味しています。
理とは、中医学の理論に従って診断する事で、弁証とほぼおなじ意味です。
法とは治療方法につてい作戦をたてるという意味です。
虚実が錯雑している時に先に去邪するか、先に扶正するか、また同時に行うかなどの手順を考えます。
去邪する場合は邪気の種類により、活血化瘀するとか、理気化痰するとか決めていきます。
治療方法が決まると次に使う方剤を決めます。
これが方です。
さらに方剤を使う時に、加減するのが薬となります。
弁証論治と理法方薬、言い方は違いますが、ほぼ同じ意味です。

29.心血瘀阻 しんけつおそ

心の血の流れが悪くなっている状態を心血瘀阻と言います。
血流が悪い状態を血瘀といい、汚れた血液を瘀血といいます。
ですから、心血瘀阻は心瘀血と言っても良いのですが、慣用的に心血瘀阻といいます。
このあたりが中医学が難しい点です。
中医学は文化的な要素を含んでいますので、心瘀血と言うとあまり中医学に詳しくないと思われてしまいます。
心血瘀阻の代表が心筋梗塞とか狭心症です。
心血瘀阻の場合、軽度なら冠元顆粒など植物性の漢方を使いますが、症状が長引いている場合は水蛭など動物性のものが必要になります。

28.肝鬱気滞 かんうつきたい

弁証は定位と定性からできていますが、前回の「気滞血瘀」のように定性だけのものもあります。
「何がどうなった」にあたるものが定性です。
例えば、気滞血瘀の場合、「気の流れが悪くなて、血の流れが悪くなった」という事です。
定位とは、何所でにあたります。
肝鬱気滞は、定位と定性の両方を持つ証です。
定位は「肝」で定性は「気滞」です。
気の流れを調整している場所としては主に肺と、肝があります。
この中で、肝の働きはとても大切です。
中医学では肝は疏泄を主るとされています。
疏泄の中で一番大切なのは気の流れの調整です。
ですので肝の疏泄の働きがうまく行かないと全身の気の流れが悪くなります。
この状態を肝鬱気滞といいます。
肝鬱気滞としてはイライラするとか、脇の部分が張る感じがするなどです。
よく使うのが柴胡疏肝散です。

27.気滞血瘀 きたいけつお

これから少し、中医学の弁証についてお話します。
弁証とは、要するにタイプ別の分類になります。
中医学では病名だけでお薬を処方する事は出来ません。
かならず弁証が必要になります。
弁証されるタイプを「証」といいます。
この証はいくつぐらいあるかというと、200位あります。
あまりにも多いので全部は説明しきれません。
いくつか代表的な証をご紹介していきます。
気滞とは気の流れが悪い状態です。
気とは目に見えなくて働きがあるもの。ホルモンとか自律神経、免疫などです。
これらのバランスが悪い状態を気滞と言います。
気はホルモン、自律神経、免疫など非常に広範囲なので気滞もとても広範囲です。
病は気からというのは、ストレスなどで気の流れが悪くなると、またそれが原因となり別な病気が起こるという意味です。
気は血の帥(すい)と言う言葉があり、気の流れが悪くなると血の流れが悪くなります。
血は自分一人で流れる事ができず、必ず気の助けが必要だからです。
こうして気と血の流れが悪くなると気滞血瘀という証になります。
気滞血瘀の改善には活血化瘀という方法が用いられます。
代表的な方剤としては冠元顆粒、血腑逐瘀湯などがあります。

26.ダイエットと多嚢胞性卵巣

典型的な多嚢胞性卵巣は、太り気味の人に多く、糖代謝や脂肪の代謝異常があります。
にきび、多毛などを特徴としています。
ところが当店で多嚢胞性卵巣の相談の方の8割くらいは太っていません。
むしろ痩せ気味の人が多いです。
どうしてやせている人で多嚢胞性卵巣になるのかはよく解っていません。
ダイエットなどで極端に体重をおとして生理が来なくなる事があります。
その場合、病院に行くと多嚢胞性卵巣と診断される事がよくあります。
どうしてそうなってしまうのでしょうか?
可能性としてはいくつか考えられます。
 1.排卵しないため、卵巣の周りに汚れがたまりやすい。
 2.皮下脂肪が少なくなり、女性ホルモンが減り、男性ホルモンが増える。
 3.極端なダイエットで代謝異常がおきている。
などです。
ただし、今のところはっきりした理由は解っていません。
やはり思春期に極端なダイエットをするのはお勧めではありません。

25.多嚢胞性卵巣と糖化

多嚢胞性卵巣の一部の方には糖代謝の異常がある場合があり、インスリン抵抗性が高くなります。
このようなケースでは、卵子の糖化が進む可能性があり、食事に十分に注意する必要があります。
具体的には、糖質の制限ですが、糖質といのはデンプンも含みます。
ごはん、パン、麺類、イモ類、カボチャなどのデンプンは分解されて糖になります。
ですから、これらのものを減らす事は重要です。
ただし、糖質はエネルギー源です。
しかも燃えればカスがのこらないクリーンなエネルギーです。
ですから、糖質はとった分だけちゃんと燃焼される事が大切です。
一番簡単なのは、午後3時以降はなるべく糖質をとらない事です。
特に、夕食後や寝る前などにお菓子類を食べている方は要注意です。
ただし、多能性卵巣の方すべてでインスリン抵抗性が高いわけではありません。
本当はしっかり検査をすれば良いのですが、検査をされている所は少ないようです。
また逆に多嚢胞性卵巣でない方でもインスリン抵抗性が高い方もあります。
このような方は糖質制限をする事で卵子の質がよくなる可能性があります。

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