タイトル一覧
陰と陽の関係
陰と陽の間には、次のような関係があります。
陰陽対立 いんようたいりつ
陰陽消長 いんようしょうちょう
陰陽互根 いんようごこん
陰陽転化 いんようてんか
陰陽対立 いんようたいりつ
陰と陽は、反対の概念で、お互いに対立しています。
この事から、陽が強ければ陰が弱く、陰が強ければ陽が弱くなります。
体が熱くなりやすい人は、体内の陽が強く、陰が弱いということになります。
また、逆に体が冷えやすい人は、陽が弱くて、陰が強いという事です。
陰陽消長 いんようしょうちょう
陰と陽は、いつも同じ状態ではありません。
例えば、気節の変化をみてみますと、春から夏にかけては、陽気がどんどん
強くなっていきます。
それと同時に陰気はどんどん弱くなっていきます。
陰陽消長は陰陽対立とよく似た概念ですが、陰陽対立は、陰陽の性質について述べた物で、陰陽消長は、陰陽の変化について述べたものです。
陰陽互根 いんようごこん
陰陽は、お互いに転化します。
つまり、陽は時として陰に変化し、陰は時として陽に変化します。
物質が燃えると、エネルギーが出来ます。これは、陰から陽が生じたのです。
また、植物は、太陽の光から、いろいろな食べ物を作ってくれます。
これは、陽が陰に転化したものです。
陰陽転化 いんようてんか
陰陽は、お互いに転化します。
つまり、陽は時として陰に変化し、陰は時として陽に変化します。
物質が燃えると、エネルギーが出来ます。これは、陰から陽が生じたのです。
また、植物は、太陽の光から、いろいろな食べ物を作ってくれます。
これは、陽が陰に転化したものです。
陰陽のバランスをとるには
陽が多い人
暑がり、いらいらしやすい、怒りっぽい、不眠、のどかよく乾く
陰が多い人
冷え性、むくみやすい、太りやすい
陽が少ない人
寒がり、食欲がない、尿が近い、疲れやすい、いつも眠たい
陰が少ない人
体がほてる、動気や息切れ、皮膚がカサカサする
以上は、だいたいの目安です。
「食事のバランス」
陽が多い人
多くとるもの 果物 特に 瓜類 ニガウリなど。
控える物 香辛料 脂っこい物
陰が多い人
多くとる物 香辛料 胡椒 とうがらしなど。
控える物 ジュース お茶 生野菜 果物 甘い物
陰が少ない人
多くとる物 くるみ 松のみ キクラゲ なまこ れんこん 山芋
控える物 香辛料 ニラ にんにく コーヒー
陽が少ない人
多くとるもの ニラ にんにく らっきょう
控えるもの ジュース 生野菜 果物
以上はあくまでも、参考です。
こだわりすぎると、かえってバランスをくずします
「生活のバランス」
陽が多い人
いらいらしないように。 つり ヨガ 気功 など心を落ち着かせる。
静かな音楽を聴く。
陰が多い人
運動などで、汗を多くかく
陽が少ない人
少しずつ、体を鍛える。軽い運動からはじめて、少しずつ激しい運動を。
但し、無理しない事。
陰が少ない人
散歩など、軽い運動をする。激しい運動は控える。
夜更かしは良くない。
ストレスも良くない。
以上は、参考です。(^_^)
虚と実
日本の漢方では、
虚は、虚証を指します。
虚証とは、痩せていて、体力がない、疲れやすい、顏色が悪い、
血圧が低い、胃腸が弱く下利しやすい、風邪を引きやすいなどの
体質を指します。
実は、実証を意味しています。
実証は、比較的体力があり、疲れにくく、どちらかというと便秘しやすく
血圧などが高くなりやすく、体内に毒素がたまりやすい体質を指します。
中医学での虚実は次のようです。
虚とは、不足を意味します。つまり、生気の不足です。
体にとって必要なものが足りないのです。
エネルギーの不足 気虚
血の不足 血虚
潤い不足 陰虚
温める力の不足 陽虚 があります。
実とは、多すぎる事。邪気が多いという事です。
体にとって、不必要なもの、有害なものがあるという意味です。
邪気は、外からくる「風 寒 暑 湿 燥 火」と中からたまる「気 血 痰 湿 食 火」などがあります。
五行説
五行学説は、中国古来の哲学思想です。これが、中医学と結びついています。
五行とは 木 火 土 金 水 です。
これを臓腑にあてはめて
「木」
肝臓 胆嚢 まっすぐにのびる性質 風で揺れる性質 酸っぱい味 怒りっぽい状態 気節は春 方角は東 体では、筋 目 爪 を意味しています。
「火」
心臓 小腸 熱い性質 苦い味 喜ぷ気持ち 気節は夏 方角は南 体の部分としては舌を意味しています
「土」
脾臟 胃(脾とは、漢方的には、消化吸収を司るもので、現代医学の脾臓とは意味が違いますから、注意してください。)
湿 甘い味 思う気持ち 筋肉(中医学的には肌肉といいます。) 季節は長夏(つゆの頃) 中央 を意味しています。
土は、他の四つが東西南北を意味しているのに対して、中央を意味しています。
この事から、脾胃は、体の中心と考えています。
胃腸の消化吸収機能が弱ってしまうと、病気は治りにくいわけです。
「金」
臓腑では、肺と大腸を意味しています。
肺とは、漢方的には、呼吸器としての肺だけでなく、鼻や皮膚も含まれます。
また、免疫機能の一部も肺の働きとされています。
それ以外には、 燥 辛い味 悲しい気持ち 皮毛 季節は秋 西 を意味しています。
「水」
臓腑では、腎と膀胱を意味しています。
腎とは、漢方的には、泌尿器としての腎だけでなく、ホルモンや生殖器も含まれます。
また、免疫機能の一部も腎の働きとされています。
それ以外には、 寒 塩辛い味 恐ろしい気持ち 骨 季節は冬 北 を意味しています。
五行説
相生とは、親子の関係です。
木は燃えると火になります。この事から、木は火を生みます。つまり、木は火の母です。
火が燃えると、炭や灰が出来ます。これは土です。
土の中から、金属が採れます。
金属は冷えると、まわりに水が付きます。
水は、木を育てます。
つまり、 木 火 土 金 水 の順に、生まれていきます。
左側が母で、右が子です。
相克とは、敵どうしの関係です。
ただ、完全に敵という訳ではなくて、制約する事によって全体のバランスを保つ意味があります。
木は、土の中の栄養分を吸収して、土を痩せさせます。
この事から、木は土を克するといいます。これを木克土といいます。
火は、金属を溶かします。これは、火克金です。
土は、水に勝ちます。水害などで堤防をきずいたり、土嚢などでみずが来ないように
したり、埋め立てのように、土で陸をつくります。これは、土克水です。
金は、金属の刃物で、木を切ります。金克木です。
水は火を消す事ができます。水克木です。
このように、お互いに制約する事によって、全体のバランスをとっています。
もし、木(肝胆)が強くなりすぎると、土(脾胃)を克して、胃腸が弱くなります。
気について
気とは、目に見えないエネルギーを指します。
これには、正気とか、邪気などいろいろな気があります。
また、自然界にあるもの、体内にあるものなど、さまざまです。
「六気」
六気とは、自然界にある、風 寒 暑 湿 燥 火 の事です。
六気は、季節に応じて、自然に存在します。
この場合は、病気の原因にはなりません。
しかし、季節に応じない気が発生したり、あるいは、季節に応じた気でも
強すぎたり、弱すぎると、病気の原因になります。
例えば、冬は、寒いのが当たり前です。
しかし、極端に寒すぎたり、あるいは、寒くなかったりすると、
病気の原因になるのです
「正気」
正気には、2つあります。
一つは「真気」とも言われ、人体機能の正しい現れで、病気に抵抗する力を意味しています。
正気が体の中に、充満していると、病気の原因である邪気は、体を犯す事が出来ません。
これには、先天の気 後天の気 臓腑の気 宗気 衛気 営気などがあります。
それぞれが、病気に抵抗して、体を守ってくれるだけでなく、生きていく爲に必要な生命活動をしています。
もう一つは、自然界の正気です。
これは、季節に応じた、正しい気です。
例えば、春は暖かく、夏は暑く、秋は涼しく、冬は寒い。
これは季節の自然の気です。
「先天の気」
先天の気は、腎と関係が深いので、腎気とも呼ばれています。
腎には、腎精といって、両親から受け継いだ、大切な命のもとが保存されています。
腎精は、いわば命のろうそくのようなものです。
腎気の強い人は、生命力が強く、長生きの素質があります。
腎気の弱い人は、腎気を消耗しないように心がけるとともに、腎精を補う食物や、漢方薬を服用する必要があります。
腎気を補うものは、紫河車、海馬、巴戟天、杜仲などがあります。
方剤としては、「海馬補腎丸」が有名です。
「後天の気」
後天の気は、胃腸から作られる気です。
これは、飮食物から作られます。
後天の気は、先天の気を補充しています。
また、後天の気は、血液や筋肉などを作る原料や、各臓腑にの気のもとにもなっています。
後天の気を補うには、補脾薬を使います。
人參、白朮、党参、黄耆などがあります。
代表方剤は、「香砂六君子湯」「四君子湯」「人参湯」などです。
「宗気」
宗気は、大気中の気を、肺から取り入れて、それを後天の気である脾気とブレンドしてできあがったものです。
主に、肺の呼吸する力と、心臓を動かす原動力になっています。
宗気が不足すると、動悸、息切れなどがおこります。
宗気を補強するには、人參、黄耆などの生薬がよく使われます。
代表方剤は、「昇陥湯」です。
「衛気」
衛気は、体を守る気です。
現代医学でいう免疫機能などを指します。
衛気は、腎臓で作られ、脾気と混ざり、さらに宗気の力の助けを借りていますから、先天の気、後天の気、宗気とも関係が深いのです。
衛気を強くする生薬は、黄耆、防風、桂枝などがあります。
代表方剤は、「玉屏風散」です。
邪気とは
邪気は、病気の原因になる、わるい気です。
これには、外からやってくるものと、体の内部に発生するものがあります。
外部からやってくる邪気は、風 寒 暑 湿 燥 火 の六気です。
体の内部に発生する邪気には、血液のよごれである淤血、水の汚れである湿と、固形物の汚れの痰、そして気の流れが悪い、気滞、食べ物が胃腸に詰まる食滞があります。
「気滞」
滞とは、簡単に言えば、気の流れが悪いという事です。
気の流れが悪くなると、その部分が詰まって、張る感じや、痛みなどを起こします。
気滞がひどくなると、化火といって、赤みを伴って炎症を起こしたりします。
また、気滞が長引くと、水や血液、栄養物の流れも悪くなり、いろいろな障害を
引き起こします。
気滞を治療するには、理気薬を使います。
柴胡、枳実、香附子、木香、紫蘇 などにその作用があります。
処方としては、「加味逍遥散」「開気九」が有名です。
「瘀血」
瘀血は、血液の流れが悪くなり、滞った汚れた血です。
血液の流れが悪い事を血淤と言います。
淤血は、出血の原因になったり、血管に詰まったり、また血流を悪くして、肩こりや頭痛の原因にもなります。
最近の研究では、慢性病の多くが淤血と関係していると言われています。
瘀血の治療には、昔から、活血化淤という方法が用いられています。
川きゅう、赤芍、牡丹皮、丹参、紅花 などにその作用があります。
それらを組み合わせた「冠元顆粒」は、とても有名な処方です。
「桂枝茯苓丸」は婦人科の淤血によく用いられます。
「湿」
湿は、体の中の不必要な、余分な水です。
むくみの原因になります。
また、鼻からあふれ出すと鼻水、気管支から出ると痰、目から出ると涙となります。
湿をとるには、茯苓、猪苓、白朮などの利水剤をよく使います。
代表方剤は、「五苓散」です
「痰」
痰は、普通に気管支から出る痰だけではありません。
体の中のよごれで、比較的、粘るものを言います。
例えば、余分な脂も痰になります。
痰は、体のあちらこちらに溜まって、しこりを作る事があります。
また、淤血と一緒になって、脳などに詰まって、脳梗塞を起こす事もあります。
痰の治療には、半夏 貝母 夏枯草 天南星 胆南星 竹茹 竹瀝などを用います。
代表方剤は、「温胆湯」「二陳湯」などです。
「食滞」
食滞は、胃腸につまった、不消化の飲食物です。
食滞になると、おなかが張る、口がまずい、便がすっきりしない、げっぷ、吐き気、舌の苔が厚くなるなどの症状がおこります。
食滞をとるには、山ざ子、神麹、麦芽、鶏内金などを使います。
血の概念
血の概念は、漢方も、現代医学もあまり変わりません。
これは、血液が目に見えるために、その働きが理解されやすかったものと
思います。
血の病気には、血虚と血淤があります。
血淤については、邪気の項目で説明しました。
血虚とは、血液の不足です。
現代医学の貧血も血虚の一種です。
貧血は、血液の濃さの不足です。
血虚には、これ以外に、血液の絶対量の不足があります。
これを全身的な血虚といいます。
全身的な血虚に対しては、当帰、地黄などの補血薬を使います。
具体的な方剤は、四物湯です。
また、局所的な血虚もあります。
局所的な血虚は、血虚を起こしているそれぞれの場所特有の症状がおこります。
詳しくは、各臓腑の項目を参照してください。
津液とは
津液という概念は、現代医学には無いので、わかりにくいかも知れません。
簡単に言えば、栄養分を含んだ、きれいな水です。
津液は、血液とともに、体を潤し、臓腑に栄養を与える爲には、なくてはならない物です。
津液は、サラサラしたものを津、どろどろしたものを液と言う事もあります。
津液が不足すると、のどか乾く、皮膚が乾く、目が乾く、など体の潤いがなくなるばかりではなく、イライラしたり、のぼせたり、不眠になったりする事もあります。
津液を補う生薬には、麦門冬、天門冬、玉竹、百合などがあります。
代表的な方剤は、麦味参顆粒です。
臓腑とは
漢方の臓腑は、現代医学の臓腑とはちょっと違います。
臟は、主に、肝 心 脾 肺 腎を表します。
臟は、藏から来ています。
つまり、大切な物を蓄える働きがあるのです。
腑は、 胆 小腸 胃 大腸 膀胱があります。
腑は臟とは逆で、中身が空のものです。
これ以外には、心包、三焦 女子胞があります。
次のページ
トップページに戻る