安中散と四君子湯
安中散と四君子湯はどちらも胃腸の働きを良くする漢方薬として有名です。
どちらも消化を助けたり胃腸を温める作用があります。
ただ、この2つの処方は基本的な考え方が全く違うのです。
中医学では汚れがたまっている状態を邪実、必要なものが足りない状態を正虚と言います。
安中散は邪実、四君子湯は正虚に使います。
この場合、日本漢方のように体力のある無しは関係がありません。
安中散は胃腸にたまった汚れを取り除くものです。
汚れにも色々あるのですが、安中散が使われるのは冷たい汚れです。
冷たいものを食べ過ぎたり、クーラーなどでお腹を冷やしたりした時に使います。
邪気を追い払う漢方は基本的にはあまり長期間使わないで、調子が悪い時だけ使います。
これに対して四君子湯は、胃腸の働きを補うものです。
胃腸の消化機能が落ちた場合を脾気虚と言います。
四君子湯は脾の気を補う代表的な処方です。
正気を補うものは体質改善としてある程度長期間飲みます。
ただ虚実は相互に関係していて、汚れが原因で機能低下を起こすし、機能低下があると汚れが溜まりやすいと言えます。
これを虚実錯雑と言います。
中医学の有名な言葉「邪の集まる所は必ず虚がある」がこれです。
ですから、安中散と四君子湯を併用する事もあるのです。
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