中医学で脳は何処にあるの?
人間の体の中で一番大切なのは何処かと考えてみます。
勿論、どの臓腑も大切ですが、大抵の臓腑は機械で置き換えられます。
人工肺、人工心臓、透析など。
そうすると肝臓はまだ人工的には難しいでしょうが、肝臓は移植できます。
そうなるとやはり脳でしょう。
人工知能はできても人工脳は出来ないでしょうし、脳移植が成功しても記憶も人格も変わってしまいます。
では、その一番大切な脳は、中医学で何処にあると考えているのでしょうか?
脳の働きは心にあると考えています。
心は心臓だけでなく、心(こころ)とも言えるからです。
中医学の基礎になる黄帝内経が出来たころは、まだ脳という臓器はよく理解されていませんでした。
興奮すると、心臓がドキドキします。
だから、ものを考えているのは脳ではなく、心だと考えていたのでしょう。
しかし、時代がすすんでものを考えているのは心臓ではなく脳だとわかってきました。
この場合の脳は、髄海といって、脊髄の集まった海と考えました。
脊髄は、骨の一部で五臓では腎の一部です。
そうすると髄海は腎の一部となります。
さあ、困った事になりました。
働きとしての脳は心に属し、物体としの脳は腎の一部なのです。
脳を治療する場合、心を治療するか腎を治療するかの問題が出てきます。
これは中医学で臓腑を無理やり五行に当てはめた弊害です。
私の考えでは脳は独立して臓として、心でも腎でもない、新しいカテゴリーを作るべきではと思っています。
五臓以外に五行をむりくり当てはめた弊害は季節にもあります。
季節は春・夏・秋・冬の4つしかないのに五行に当てはめるため無理矢理に長夏という季節を作ってしまいました。
さらに長夏はいつなのかというのも2つの説があります。
そんなあいまいな季節を作ってまで五行に当てはめる必要はないのではと思います。

ブログ一覧に戻る