西洋医学と中医学の違い
西洋医学と中医学の違いはいくつもあります。
その中の一つとして、病気が先か薬が先かという問題があります。
西洋医学の場合、病気がおこる原因を探します。
そしてその原因が見つかると、それに効く薬を探します。
抗生物質のように自然界から探す場合もあれば、合成して作る場合もあります。
最近はバイオの技術を使い、さまざまな薬を開発しています。
このように、病気が先で、薬は後という事になります。
中医学の世界は、そうではありません。
中医学で使うのはすべて生薬と言うもので天然物です。
人間はまず、植物や動物、鉱物など薬になりそうなものを食べてみます。
そうすると体が反応します。
体が温まるのを熱薬、少し温まるものを温薬、熱をさますものを寒薬、少しさますものを涼薬、どちらでも無いものを平薬としました。
また便が柔らかくなるもの、便が固くなるもの、汗が出るもの、汗がとまるもの、食欲が出るもの、痛みが和らぐものなど、さまざまな作用を体験して、分類していきました。
これが生薬学です。
中医学がすごいのは生薬学だけで終わらない点です。
どこの国の民間療法もだいたい生薬学で終わっています。
中医学には理論があります。
インドのアユルヴェーダとかチベット医学にも理論がありますが、理論がある民間療法は少ないでしょう。
中医学の理論は、科学的ではありません。
どちらかというと哲学的なものです。
ただ、長い年月の中で、間違っているものは正し、役に立たない理論は捨てられていきました。
今、受け継がれている理論は、確かに効果があると考えられる理論です。
科学的な理由は説明出来ないものもあります。
ただ、それが治療に役立つなら、非科学的だと言って無視するのは勿体ないと思います。
そして中医学の理論に基づいて生薬を組み合わせて病気を治療したのが方剤です。
生薬は自然界のものですが、処方は中医学の理論を駆使して作られたものです。
ですから、処方こそ中医学の精華と言えるのです。

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