超紹琴先生の医案
983年に北京に行った時に温病の大家、超紹琴先生の講義をお聞きした事があります。
超紹琴先生の症例を一つ紹介します。
52才の重症筋無力症の患者さん。
半年ほど入院して、今まで八珍湯、十全大補湯、帰脾湯、右帰、左帰など温補滋養の類を使っていましたが良くなりません。
4日前に突然に38.5度の熱が出て、さらに熱が高くなりました。
そこで診察に行ってみると患者の顔色は黄色く、痩せていて、精神に力がありません。
両目は開くのが困難。
舌は胖大で苔は白くガサガサで乾燥しています。
両脈は虚で濡、按じると少し滑です。
さらに沈めると弦細で数。
いわゆる虚で痩せている状態なのですが心煩で夢が多く、小便は黄色く大便は2日に1回で、体中壮熱です。
諸医は久病で気血が多いに虚している、肝温除熱以外に良い方法は無いと言います。
先生が思うに、陽虚で気弱なら温める薬を使えば少しは病状が軽くなるはずなのに熱がひどくなった。
そもそも新病は実が多く久病は虚が多いというが、久病もまた実を挟む事がある。真仮虚実、錯綜複雑、変化ははかりがたい。
この患者は高熱で、甘温で熱はひどくなった。
脈に滑の部分もあり、数の部分もある。真虚で、新感実邪。
そこで超紹琴先生は白虎湯を使われました。
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常識にとらわれず、わずかなヒントも見逃さない。
素晴らしい症例だと思います。
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