深谷薬局 養心堂

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肝について

中医学でいう肝は、現代医学の肝臓とは大分違います。
肝は、肝臓の機能だけでなく、自律神経の機能も包括しています。
肝は、筋(すじ 腱 神経繊維) と関係があります。
また、目の働きも肝と深いつながりがあります。
肝は血液を蓄えていて、必要に応じて、全身に供給しています。
また、自律神経の働きも肝に屬します。
肝に問題があると、イライラしやすいなどの症状が出てきます。

肝の病理は、肝郁気滞 と 肝血不足 肝陽虚 肝陰虚 などがあります

「肝気虚」
肝気は、肝臓がもっているエネルギーです。
肝は疏泄をつかさどっています。
肝の疏泄とは、
 情緒を安定させる働き
 胃腸の働きを助ける
 全身の気の流れを調節して、気機を助ける働き
    気機とは、気が上ったり降りたり、浮いたり沈んだりする気の動きを意味します。

肝の持つエネルギーが不足すると、無気力、食欲がない、だるい などの症状がおこります

「肝血不足」
肝には、血を臓する働きがあります。
肝臓には血が沢山あるのです。
昼間は体の中をめぐっている血も、夜になると、肝臓の中に戻ってきます。

肝血が不足すると、貧血のような症状がおこります。
顏色が悪い、疲れやすい、舌の色が淡白などです。
また、肝気とのバランスが悪くなり、気血両虚や肝気鬱結を起こします。

肝は目とも関係が深いので、肝血虚になると、目が疲れたり、見えにくくなります。
このような時は、当帰 芍藥 枸杞子 などを用います。

肝は、女性の生理の周期を調整する働きもあります。
肝血虚になると、生理不順になる事があります。
このような場合は、当帰の沢山入った婦宝当帰膠などを用いると良いでしょう。

「肝陽虚」
肝陽虚は、中国の漢方の教科書にもあまり載っていません。
なぜなら、どちらかというと、肝は陰が不足して、陽が多い事が多く、肝の陽氣の
不足という状態はあまりおこらないからです。
しかし、数は少ないですが、肝陽虚も存在します。
肝陽虚になると、肝気虚の症状の他に、冷えが起こります。
疲れやすい、ため息をよくつく、やるきがしない、クーラーが苦手、手足が冷える
などです。

肝陽虚の人は、当帰、桂枝、呉茱萸などを多く用います

「肝陰虚」
肝の陰は、腎の陰とともに、体の中ではとても大切な役割をしています。
肝の性質は、剛です。
もともと陽気が強い臓器です。
このため、肝の陰は不足しがちです。
肝は、木に例えられます。
ですから、肝の陰が不足すると、木は、みずみずしさを失って、枯れ木のようになってしまいます。
肝の陰が不足すると、肝から火を生じます。

肝陰虚の特徴は、目の疲れ、目の乾き、イライラ、口のかわき、手足の火照り、不眠、
ストレスなどです。
代表的な方剤は、杞菊地黄丸

「肝鬱気滞」
の気は、体の中ではとても重要な働きをしています。
その主な作用は、疏泄作用といいます。
肝の疏泄とは、
 情緒を安定させる働き
 胃腸の働きを助ける
 全身の気の流れを調節して、気機を助ける働き
    気機とは、気が上ったり降りたり、浮いたり沈んだりする気の動きを意味します。

この肝気の流れがスムーズに行かない事を肝鬱気滞といいます。
肝鬱気滞は、肝気欝結とも言います。

肝鬱気滞の主な症状は、
 イライラする
 つまる感じ
 張る感じ
 気力が無くなる
などがあります。

肝の疏泄を良くする漢方薬としては、柴胡があげられます。
代表的な方剤は、加味逍遥散です。

「肝火上炎」
肝鬱気滞が長く続いたり、日頃から体質的に熱を持ちやすい体質の場合は、
肝火上炎という病態がおこります。
肝火上炎は、肝鬱気滞の症状の他に、のぼせが加わります。

具体的には、
 顔が赤い
 血圧があがる
 不眠
 鼻血
 顔があつい
などです。

 肝火上炎には、竜胆、夏枯草、黄岑、大黄などが用いられます。

「肝陽上亢」
肝火上炎や、肝陽上亢が長く続くと、肝風内動という病態を引き起こします。
肝風内動は、振るえやしびれを主な症状としています。
昔から、中風の前触れと言われ、肝風内動が現れた時には要注意です。

具体的な症状としては、
 めまい
 ふるえ
 しびれ
 舌がもつれる
 言葉がうまくしゃべれない
 まっすぐ歩けない
などです。

 よく使われる生薬は、羚羊角、石決明、釣藤、地竜、全蝎などがあります。
 
「肝風内動」
肝火上炎や、肝陽上亢が長く続くと、肝風内動という病態を引き起こします。
肝風内動は、振るえやしびれを主な症状としています。
昔から、中風の前触れと言われ、肝風内動が現れた時には要注意です。

具体的な症状としては、
 めまい
 ふるえ
 しびれ
 舌がもつれる
 言葉がうまくしゃべれない
 まっすぐ歩けない
などです。

 よく使われる生薬は、羚羊角、石決明、釣藤、地竜、全蝎などがあります。

「肝経湿熱」
肝の経絡は、足から陰部をめぐって、脇腹を通っています。
肝経の湿熱は、この部位に湿疹や炎症を起こす事が多いようです。
また肝は目とも関係が深いので、目にも異常が出ます。

肝経湿熱の具体的な症状は、
足の内側の痛み腫れ、陰部の痒み、痛み、腫れ、だだれ、
脇腹のいたみ、腫れ、目やに、目のただれ、排尿痛、排尿困難などです。

よく使われる薬としては、竜胆瀉肝湯、茵陳蒿湯があります。




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